順調、そして焦燥

・・・ローレライが危惧する再度過去へと戻るという手段。これはティアからして理想の展開とは程遠い今を捨て、今度こそはとまたやり直しを計りかねないとローレライにアドリビトムの面々は話し合った。

二度あることは三度あると言うが、一度味をしめれば二度も三度も同じことと今のティアならためらうことなく考えるだろう。納得がいかない結果が出たならもう一度やり直せばいい・・・何故なら自分は過去に戻る手段を手にしているのだからと、平然とローレライを使う形でだ。

そしてそうなればローレライがティアに対して抗うことは難しいと言わざるを得ない・・・何故ならティアにはユリアの譜歌があり、ティアの意に沿わない答えを出したならヴァンのように無理矢理ローレライをその身に取り込み、力と意志を奪われかねない。そうなれば最早ティアを止めることはローレライには出来なくなり、ティアが納得行くまで何度でも逆行を繰り返そうとするだろう。そしてその時には今の状況の大本を作り出したアドリビトムはおろか、今のルークすらもいない状況になる・・・つまりストッパーとして機能しそうな人物がいないのだ。ティアの暴走を止めるのに。



『・・・もうここでティアを止める以外に、過去に戻るような事を平然と繰り返させるようなことを止めさせる機会はない・・・頼むぞ、アドリビトムの者達・・・ティアを止めるためにルークにティアを任せる訳にはいかん・・・そなたら以外に止めるものはおらんのだ・・・!』
・・・ローレライはその可能性について、何よりも危険性を抱いている。そしてルークではティアを止めることは叶わないというより、被害者にしかならないと確信している。その狂気の犠牲になると。
だからこそローレライは自身の気持ちを託したアドリビトムの者達を信じる以外に無く、切実に願った。ティアを止めてほしい、そう強く・・・









(・・・どうするべき、なのかな俺は・・・こんな風にまた俺は世界を移動することを選択出来るなんて思っちゃいなかったけど、だからって何度も自分が嫌な事が起きたら皆に頼ってやり直したいとかそんなことを選んじゃいけないのは分かる・・・だから俺は今度こそ最後にしなきゃいけないんだ、俺だけがこんなに優遇されていいわけじゃないしな・・・!)
・・・それでダイクロフトに戻ったルークはミュウが足元にいるのを知っている為に内心考えていた、先程のローレライ達との会話で自身がどうするかについてを。
ただその考えの中にはやり直しを考える気持ちは無いばかりか、今度で全て終わらせるべきとの考えを強く抱いていた。後ろめたさがあることも否定出来ないが、それ以上に何度もやり直しなどしていいはずがないという考えがあるために。



(・・・もういい加減ここまで来てしまうと、嫌でも感じてしまうわ・・・流石にもうここからじゃ昔のようになんていかないんじゃないかって・・・今の状況ならまだルークをどうにかすることは出来るかもしれないけど、もしそれがダメなら・・・ローレライを解放した後、また過去に戻る事も視野に入れた方がいいわね・・・今度はこんな変な世界、それもあの人達がいない私の知る過去に戻る形で・・・!)
・・・一方、その頃のティアはイオンが今日はもう仕事は終わりだからと用意させた部屋の一室にて考え事をしていた。ローレライの予想通りでいて、ルークとは全く逆の考えに。
(ただそうするためにはどうにかしてローレライを地核から出さねばならないのだけれど、出すとしたらまた障気の中和の為に地核にタルタロスで突入する時に私達がいないといけない・・・その為にはその時は私がルークを引き込まないと・・・!)
その上でティアは段取りを考えていく。いかにしてローレライと接触して地核から出すのかとほぼ自分の為だけに・・・


















新たに明らかになった事実



それらがもたらす結末は何か?



残る時間はさして多くは残ってはいない・・・



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