『そなたの今の状況は端から見て、とても良好と言えるような物ではないのはアドリビトムの者達からも何度も聞いた。その上で本当にルークをティア達に任せていいものかとそう話をしていったのだが、このままの状況では良くて今言ったような不遇の状況にずっといなければならない物になり・・・悪ければそれこそそなたがキムラスカに戻らないと選択して何処かに雲隠れしたとしても、そなたを是が非でも見つけ出しにかかりかねない状況が有り得る。それもキムラスカにマルクトにダアト、全勢力を挙げて捜索にかかる形でだ』
「なっ・・・！？」
『信じられないと思うかもしれないが、これは十分に有り得る話だと我らは見ている。特にダアトに関してはティアがいる・・・恐らくティアは導師に具申するだろう。ルークを見つけることは世界の為にも自分達の為にも必要な事であると。そして導師も様々思うところこそあるだろうが、最終的には肯定を返してキムラスカとマルクトにそなたの捜索について働きかけをするであろう。ただマルクトはまだ良いかもしれぬが、キムラスカに関してはアッシュがいるならそなたを徹底的に捜索して見つけ出そうとする可能性が高い・・・いい意味としては決してなく、そなたに対する対抗心を盛大に燃え上がらせる事によってな』
「っ！・・・そうなったら、俺が何処かに隠れても無事でいられる可能性は・・・」
『まず相当に低いとしか言えないのは間違いない。そなたが無事に隠れきれるならまだいい結果かもしれぬが、そういったそなたを探しているという情報を受ければどうしても見つかる不安を抱えて生きていかねばならぬであろうし、何より一度でも見つかったとなればもうそなたに安息は無くなり・・・最終的にキムラスカに戻る以外の選択を取れなくなるだろう。そなたが捜索に来た者達を切り捨ててまで自由でいることを選ばないという前提の上で考えているが、間違ってはいないだろう』
「・・・それは・・・そうだろう・・・俺がキムラスカに戻りたくないってだけで、命令を受けてきた人達を自分の勝手で命まで奪って逃げるなんて・・・そんなこと、したくない・・・」
いかにルークに対して苦難が待ち受けているのか・・・アドリビトムの面々と交わした会話を存分に話していくローレライに、ルークは苦悶の表情を浮かべてうつむく。自分が苦境に置かれること以上に、自分の為だけに人を傷付けるような事もしたくないと。
『そなたならそう言うだろうと思っていたが、我々としてもそうなることは望んではいない。だがこのままではどう転んだ所で、そなたがどうにもならない状態になるのは目に見えている・・・だからこそ我々でどうにか出来ないかと話をしたが、そこで出てきた結論が再びルミナシアにそなたが戻るという物だった』
「そんな、ことが出来るのか・・・？」
『一度やれたことだ、そうすること自体に問題はない。むしろ今の状況ではルミナシアの方が安全だと思うからこそ、我々はその考えに至ったのだ』
「ルミナシアの方が、安全・・・？」
『向こうでそなたは手紙を残し、それをアドリビトムの者達からライマに送られたと聞いたであろう。それでライマの者達はその中身が中身なだけに、そなたはもう死んだ物として見ているとのことだが・・・死人に対し、捜索の手を出すことなど有り得ると思うか？』
「それは、無いと思うけど・・・俺はライマの人達もそうだけど、皆の事を騙してもいたのに・・・本当に、それでいいのか・・・俺が、そんなことを選んで・・・？」
それでそこからルミナシアに再び戻ることについてそう至った考えをローレライは明かすが、ルークはその考えを理解はしつつも感情が納得出来ないといった様子で声を漏らす。そんな都合のいいことをしていいのかと。











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