順調、そして焦燥

「着いた、って・・・えっ・・・こ、これは・・・!?」
『来たな・・・待っていたぞ、ルーク。そなたとこうやって直に話が出来る時を』
それで一番下の譜陣の元に来たルークはローレライから話し掛けられたものの、ただ唖然とするしか出来なかった。何故なら・・・



「・・・これは・・・俺の、体・・・なのか・・・!?」



・・・ルークの目の前にあった光景。それは収束した第七音素の光の中で確かにその存在を露にして眠るよう目を閉じる自身の体があったからだ。ただ何故ここでアッシュではなく自分の体とルークが思ったのかと言えば、そこにあった体が今の自分と同じ服に髪の色をしているからである。
『・・・やはり驚いたか、ルークよ』
「ローレライ・・・これは一体、どういう事なんだ・・・!?」
『まずは率直にこの体が何なのか、その答えを言うが・・・この体はルミナシアの我がルミナシアのそなたの体をこちらに送った物だ』
「えっ・・・そう、なのか・・・?」
その光の中からローレライの声が聞こえてきたことにルークはようやく気付いてどういう事かと聞き、その返答に意外そうに目を瞬かせる。
『向こうの我の話ではそなたの魂は今こうやって無事にその体に定着したが、その体にはある問題がある・・・話には聞いただろうが、アッシュと大爆発が起きるという可能性だ』
「大爆発・・・っ!」
『そう、かつてはアッシュとそなたの体でそれが起きたからこそアッシュが生き残ったのだが・・・今回はそれを起こすわけにはいかんだろう。そうなるような状況ではないからというのもあるが、もし起きてしまえばそなたの命がまた危ぶまれる事態になるからな』
「・・・俺も、出来るならそんな事態にはなりたくないよ・・・」
『そう。例え可能性は低いとは言え大爆発は起こしたくはない・・・そう考えた向こうの我は魂が無くなった後の肉体を地核から出した我に託したのだ、このレプリカではない体を再びそなたに移し変える形で大爆発を回避する為に。そして我はこの肉体を維持する為に今までセフィロトのある場所だけを移動し、障気の影響のない第七音素を集めていたのだ。第七音素との融和性の高いそなたの肉体なら第七音素の流れの中に置けば生きてるままの状態と変わらず保全が出来るため、この肉体をそなたに再び渡すために生きているのと同じ状態を保つためにな』
「そうだったのか・・・」
ここでローレライの行動と目的にどんな意味があったのかについて全貌を聞いたルークは納得する以外になかった、そこまで二人のローレライは自身の為にと動いてきた事に。
「・・・ん?・・・じゃあそうだっていうなら、何で早くティア達には秘密にしてここに来てその肉体を俺に渡すとか、最低この事を知らせるとかって話にならなかったんだ?今までの事を思い返すと皆までその事を俺に話さない理由にはならなかったと思うんだけど・・・」
『その事か・・・』
ただそこでふとルークはこの事は自分に過度にする必要はなかった筈という疑問を口にし、ローレライも少し苦そうな声を漏らす。
『・・・アドリビトムの者達に言わないようにしてもらったのは確かにこれを直に見ねば話が進みにくいと思ったからだが、実はそこから先には他の理由も含めてまた別の問題があるからだ』
「・・・別の問題?もしかしてその体には俺は入れないとか・・・」
『いや、そういうことではない。主に何が問題になるのかと言えば・・・その体から出た後の事だ』
「えっ・・・どういうことだ・・・?」
それでやむ無しと今まで黙っていた理由について話し出すローレライだが、その問題として上がった言葉に何があるのかと不安げな表情を浮かべる。









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