順調、そして焦燥

・・・様々な思惑が生まれ収束しつつあった一日も終わり、朝食を食べた後にルーク達は謁見の間へと集められた。



「・・・朝からすぐに集めて済まぬな。だが今日からまたそなたらは動かねばならぬのだろう。残る問題を解決する為にも。故にこの時間から集めさせてもらったが、早速聞かせてほしい・・・そなたらがどういう風に動くつもりでいるのかを」
ルーク達が全員来たことを確認して玉座に座るインゴベルトは挨拶もそこそこに、すぐに本題へと入る。行動指針についてはどうなっているのかと。
「それでしたらまずグランコクマに向かい、ピオニー陛下にタルタロスをいただけないか・・・そう申し上げに行く予定です」
「何?タルタロスを?」
「はい・・・ダイクロフトにいる者達からの研究書の調査によるところ、障気を抑えるにはタルタロスが最も適した存在であることが分かりました。その為、タルタロスの使用許可を得たいと思いグランコクマに向かいたいのです」
「ふむ、成程・・・」
「ですがタルタロスを用いるにした所で実際に見て触れる形で検証であったり調査であったりなどをしなければいけませんので、ピオニー陛下の許可が出たならベルケンドにシェリダンの両都市の場所と技師の提供をしてはいただけないでしょうか?何分我々はあまり表立って動く事はなかった事から、地上の技術がどのような物になっているのかを正確に把握していませんのでそちらに協力していただけるとありがたいのですが・・・」
「うむ、そういうことならこの後すぐに協力するようにと言った内容の書簡を書こう。それくらいは快く協力せねばな」
「ありがとうございます、陛下」
その問いに答えたのはヒューバートでグランコクマに行くと答えた後にインゴベルトにも協力を願うとその中身を説明すると、すぐに頷いてくれたことにルーク達も揃って頭を下げる。
「・・・それで、その次はどうするつもりでいるのだ?」
「その事ですが・・・我々は二手に分かれて動こうと考えています。タルタロスが確保出来たならタルタロスと共に研究を行う組と、パッセージリングの操作に回る組とに」
「そうなのか?」
「はい・・・謡将達がいなくなった今、我々の邪魔をする者はいません。その上で障気をどうにかした後にパッセージリングを操作するのは二度手間になりますので、先に残りのセフィロトを回ります。と言ってもダイクロフトを経由すれば然程時間をかけずに各地を回れますので、タルタロスがシェリダンかベルケンドに着く頃にはそちらの組は大体は終わるかとは思いますが・・・」
「ふむ・・・まぁその方が事を進めるのには確かに都合がいいか・・・」
更にインゴベルトはそこから先はどうするのかと聞くと、ヒューバートの二手に分かれるとの発案に納得する。悪くないと。
「それでなのですが、インゴベルト陛下・・・近い内に外殻大地の降下についてを人々に発表するように検討してはいただけないでしょうか?そろそろそれらに関して行動していただく時期に差し掛かってくる頃と思ったのですが・・・」
「うむ、確かにそうだが・・・ピオニー陛下に伝えるのもそうだが、導師はどう考えている?」
「私もそうするべきだとは思いますが、それならダアトに戻った時に私はしばらくその準備に勤しみたいと思います。ちょうどセフィロトもダアトの中にありますから」
「勿論ピオニー陛下にもお伝えさせていただきます。そこは流石にお伝えしない訳にはいきませんので」
「ふむぅ・・・それならよいか。我々だけが勇み足を踏む訳にもいかぬしな」
それでヒューバートが逆に外殻大地の事を切り出したことにインゴベルトはイオンにも返答を求め、二人の言葉に安心したような声を上げる。なら大丈夫だと。








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