緩やかに向かう道

「・・・どうしたんだ、皆?こんな所に集まって」
「あ、アスベルさん・・・ちょっと部屋に居づらくなったので、少し部屋から出ていたらこう集まってしまったんです・・・」
「部屋に居づらい?」
アスベルは集団の一人のフィリアにどうしたのかと問い掛けると、居づらいと返ってきた言葉に首を傾げる。
「簡単に言うとティアさんが危ない空気を醸し出していて、その中にいるのが辛いんです」
「あ・・・確かティアと一緒の部屋になったのはフィリアとすずだったか・・・と言うかすずがそういった言葉を口に出すって相当なんだな、今のティアの様子は・・・」
すずがその疑問について答えるのだが、アスベルはそのすずらしくない答えにそこまでなのかと少し引いた様子を見せる。ティアの今の姿をどんなものかと想像し。
「それで俺達は二人を見てここに来たんだが、アスベルはどうして外に出ていたんだ?お前は外に出るような用事はないと思うのだが・・・」
「あぁ、少しな・・・時間もあることだし、俺達だけで話が出来る部屋に行こう。ちょうど話したい事でもあったし、ここにいない人達に各自後で伝えてほしいしな」
「・・・まぁ確かにちょうどいいし、通路で話を続けていても邪魔になるだろうしな。ティアもそうだがアッシュもいない部屋に行って話をしようか皆」
「そうしましょう」
ウィルがすずの言葉を引き継ぎつつ今の状況について言いつつアスベルの外出について聞き、アスベルは先程の話についてを話すと言ってウィルとフィリアの返答と共に一同は場所を移すことにする。自分達以外の誰かに話を聞かれる可能性を減らすために。









(・・・本当に、どうすればいいの・・・今の状況でルークに話をしに行ってもどう言えば分からないし、あの人達をどうやって出し抜けばいいか・・・それにアッシュもナタリアも、そして大佐も今までの感じからすると素直に私に協力してくれるなんて思えないし・・・いい考えが、思いつかない・・・)
・・・一方、すずからまでも嫌な空気を滲ませていると感じさせたティアは一人残った部屋の中で陰鬱な空気を抑えることもなく追い込まれた表情でベッドに腰掛けていた。自分の思うままにならない、信頼する仲間も誰も助けてくれないと思いながら。



・・・もうここまで来てしまえば、自身の考えを改める方が楽・・・そう言える領域に来ているのに、未だに自分は間違っていないと信じている。だがそれでも尚ティアが引き返そうとしないのは、最早引くに引けないという考えがあるからだ。



(・・・ここまで来たのに、もう一度なんて嫌よ・・・地核にいるだろうローレライを解放して私の事を言えばまた過去に戻って今度こそうまくやることは出来ると思いたい、けれど・・・またこんな前と違う世界だったら、うまくやれる自信はない・・・だからこそ、ルーク達をどうにか説得しないといけないのにどうしてうまい考えが思い付かないの・・・!?)
それでティアはもう一度やり直せる気は流石にないと思いながら、焦りの気持ちを抱いてしまう。



・・・そう、ティアが引くに引けない理由はいざとなったらローレライの力を再び借りて過去に戻ってもうまくいかせられる自信が無いからだ。特にアドリビトムの面々がまたいるのではないかという状態で、一回目のように出来る気がしないと。

ここまで来てしまえば一からやり直しをしたとしても前と違う以上流石にティアでも無理が生じると感じたからなのだが、だからこそ結果が失敗だからと何度も繰り返すような気力も無くなっているのだ。ただそれでも最終手段としては考えてはいるようではあるが、まだそれを選ぶ段階にはティアの思考はいってはいない。ただそれはあくまでまだ、であるが・・・










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