緩やかに向かう道

(・・・俺とアッシュの違い、か・・・改めて考えると、ちょっと・・・)
「どうしたんだい、ルーク?」
「ん・・・あぁ、ちょっとルーティに言われたことを考えてた・・・」
「二人の違いについて、か?」
「まぁ、思い返すっていうか改めて指摘されてちょっとな・・・」
ルークはそこで少し考え事に浸りかけていたが、クレスとアスベルの問い掛けに頭をかきつつ考えていた事を明かす。
「俺は自分としちゃアッシュに似てるのは姿だけって思ってたんだ・・・生まれ方も違うから、考え方も違うって前から思ってた。けど実際、口にされると何か・・・どう言えばいいのか、とにかく妙な気持ちになったんだ」
「・・・妙な気持ち?」
「・・・今までアッシュに拒絶しかされてなかったけど、そう考えるとアッシュから俺に歩み寄って来たことって一度も無かったんだなって・・・」
「「・・・っ!」」
ルークはそこから自分の過去を思い出すように話を進めていくが、その中身と寂しげに変わる表情に二人はたまらず息を呑んだ。
「・・・分かってるんだ。アッシュがそんなことを望んでないことにそうする気に考えが全くないって事を。でも・・・改めてそう聞いて、気持ちが落ち込むのを感じたんだ・・・あんまりこういうことを言うのはどうかと思ったけど、さ・・・」
「いや、ルークの感じたことは間違いじゃないよ・・・ねぇ、アスベル。今の関係から分かるけど、ヒューバートとそういった風な事にはなってないよね?」
「まぁ・・・一時期は何も知らなかった俺に対して当たりが酷かったけど、それでも何とか持ち直すことが出来て今があるんだが・・・それも状況が進んでそうする理由はないって分かったこともあるが、俺達二人ともに歩み寄る事が出来たから今のようになれたんだ。だけどどっちかがそう出来なかったら、今のようには出来なかったと思う・・・」
ルークはそんなことを言いたくないと言ったように声を漏らすが、クレスは違うと言ってアスベルは振られた話題ながらもヒューバートとの関係についてを話す。どちらかがダメだったら縁は完全に切れていたかもしれない、その綱渡りのような昔の弟との状態を。
「そうなのか・・・前はエルドラントに突入して最後の最後、俺はアッシュから後を託されて先に進んだ・・・けどそれまで、俺はアスベル達のように話し合いが出来たような記憶はない・・・アブソーブゲートに行った時は自分が怪我をしてて失敗するかもしれないからって俺達に後を任せてくれたけど、状況が状況だしな・・・」
「・・・本当に、どうしてアッシュはルークの方へと歩み寄りをしようとしなかったんだろうね・・・自分が嫌だからこうなって欲しいとかって気持ちを少しでもちゃんとルークに伝えようとしていたなら、また違うことになっていたかもしれないのに・・・」
「こっちはともかくとしても、ルミナシアのアッシュに関しては特にそう思ってしまうな・・・いくら演技をしていたからって、あそこまでルークの事を拒否しなくてもいいと思うんだが・・・」
ルークはその話に納得しつつもかつての事を口にし、クレスとアスベルもその気持ちを痛感して表情を歪める。アッシュがもう少しでも接し方を考えていたならまだ違った状況が生まれていたのではないか、そう考えずにはいられなかった為に。













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