緩やかに向かう道

「・・・あっ、ちなみに今のアッシュの状態ってどうなんだ?ナタリアは自分の部屋に戻ったから、どうしてるのか分からないんだけど・・・」
「それならとりあえず問題はないと俺は見ている。相変わらずの不機嫌な顔を見せてはいるが、何も言わず黙っている様子を見る限りでは考え事をしているのだろう。おそらくワイヨン鏡窟でのルークの腕に関しての事についてな」
「あぁ・・・まぁアッシュも見てたし仕方無いとは思うけど、だからこそ話をすれば乗ってくるかな」
「ねぇ、あんたの強さはあたしも見てたから分かるんだけど・・・アッシュは話をして決着をつけようって言ったら乗ってくると思ってるの?正直、あたしがアッシュの立場だったら勝てない勝負になんか出る気はしないわ」
そこからふとアッシュの事を気にするルークにウィルが答える中、ルーティがそんなにうまくいくのかと聞いてくる。アッシュの立場に立った言い方で。
「あ~・・・俺が自分でこんなこと言うのもどうかって気持ちにはなるけど、俺に勝てないって分かっててもアッシュに引くって選択肢は無いよ。俺に劣ってるとか負けるっていうのはすごく嫌だみたいな考えだから、勝負を避けるとかじゃなくどう俺に対抗するかって考えてると思う」
「ふ~ん・・・なら決着をつけるのに問題はないでしょうけど、どうしてこうもあんたとアッシュに違いが生じたのかしら?」
「えっ・・・違い?」
「そう、違いよ。まぁこっちのあんたらの関係って被験者とレプリカって関係で育った環境に年齢が違うから仕方無いとしたとしても、ルミナシアでのあんたらって双子って関係でそこまで環境的にも二人の差を決定付けるような大きな違いってなかったんでしょ?・・・それなのにどっちの世界でも姿形を除いたら細かな所は似てたりしても、共通して言えるのは仲良くしたいって思うあんたがアッシュに酷く嫌われるって関係・・・だからどうしてそんなにあんたらって単に歩みよりが難しいって言えないくらいに違うのかって思ったのよ。あんたはアッシュの事をよく分かってるのにアッシュはあんたの事を分かろうなんて一切しようとしてないっていう違いの事をね」
「っ!・・・そういうことか・・・」
ルークはアッシュの気持ちを十分に汲んだ上で大丈夫だろうという考えを返すのだが、その答えを受けてのルーティから口にされた二人のあまりの違いにたまらず表情を苦く歪ませる・・・分かってるルークと分かろうとしないアッシュ、二人の違いについてを理解せざるを得ない形で聞いたことで。
「・・・ま、もう今更それはどうしようもない事よ。アッシュ本人にそう言ったところで変わる所か余計意固地になって考えを変えないって気持ちを固めるだけでしょうし、考えを変えてもらうように地道に話をする時間なんてないでしょうしね」
「・・・そう、だな。もう時間もそんなに余裕はないんだし・・・とりあえず、アッシュには外殻大地の問題が片付いたら話をしようって伝えといてくれ。その時に俺達がどうするか、最終的に決める時にしようってさ」
「あぁ、分かった・・・じゃあそろそろ俺達は部屋に戻るぞ。こちらもゆっくり休みたい所だからな」
「あぁ、じゃあな」
ルーティはその話を気にしないようにと言い、ルークも頷いた後にアッシュとの最後の場についての伝言を頼むとウィルの返答を皮切りにして部屋に残るメンバー以外は退出していく。













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