緩やかに向かう道

「だからこそ、これから先は一層ティアの動きもそうですがルークさんにも注意を払わなければなりません。向こうでルークさんにも話は行ってはいるでしょうが、今のティアに二人きりになるような状況で近付くような事になるのは出来るだけ避けたいです。事実をルークさんが明かすとどんな形ででも選択をしたなら、今話したような事になりかねませんから・・・」
「・・・そうだな・・・でもどうする?今の話をリオン達にもしに行った方がいいと思うんだが・・・」
「僕が皆さんの所に行きますので、兄さんは見張りを続けていてください。一応ルークさんは向こうに乗っているので大丈夫だとは思いますが、あれを見てしまった後では少しでも何か変わった兆候を見逃すわけにはいきませんからね」
「分かった、頼むヒューバート」
「はい。では・・・」
その危険性について改めて認識した上でアスベルがタルタロス内にいる他のメンバーについて話題を振ると、ヒューバートが自分が行くと場を離れる。アスベルに後を任せる形で。
「・・・今更って言うか、より難儀になったな・・・ルークの状況・・・でもここまで来たからにはあと少しなんだ・・・俺達がしっかりしてルークを守らないとな・・・!」
一人になった所でアスベルはティアのいる部屋のドアを見ながら決意を固める。ティアからルークを守ると最早味方に対して抱くものとは思えない決意を。



(・・・どう、すればいいの・・・いえ、ルークにどういうことかと聞けば今の状況が解決するのは分かってる・・・今の状況はルークによってもたらされた物なのだから・・・問題は私があそこまで言われないようにするにはどうするべきかよ・・・それさえクリア出来れば、取り返しはつくはず・・・)
・・・一方、ティアは椅子に座りうなだれながら一言も発する事なく静かに考え事に没頭していた。だが端から見ればその姿には濃い影が所々滲んでいるように見えて、不穏な空気を感じずにはいられないような物であった。
現にあれほど自身を否定されたにも関わらず、自身の行動を省みた行動を取ろうという考えではなくあくまでルークの真実を知れば自分のことも周りの事もどうにかなると未だ信じて考えを巡らせている・・・いや、最早ここまで来れば逃避をしていると断言していい姿であった。自分は間違っていない、そう信じたいが為に全てをルークになすりつけたいと言った逃避の気持ちの現れと・・・


















・・・ルークの実力が知られたことにより、ほとんど良くない意味で一気に加速してしまった各々の関係の発展。だが一応船と艦で二手に分かれて移動している為、特に大きな動きなどは起こらず表向きは静かに二隻はバチカルへと向かっていった。

そして数日後・・・二隻はバチカルの港へとその身を着けた。



「「「「・・・」」」」
(く、空気が重い・・・けどその理由の俺が何か一言でも言ってしまうと、余計にこじれるのが目に見えるのがまた分かるから嫌だ・・・!)
船にタルタロス・・・両方から全員降りて集まっているのだが、誰も一言も発する事なく緊迫した空気が漂っていた。ルークはその理由が自分にあるとさりげに周りに集まっているアドリビトムの面々と、ティアを始めとした他の面々がピリピリした空気を滲ませているからだと察した。そして自分が何か言っても逆効果と言うか、火に油を注ぐような結果になるだろうという風にも感じる形で。










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