戦場に際し開き、詰まる距離

・・・そのようにルークが悩む中、一行はフーブラス河を進んでいく。だがフーブラス河には取り立てて強い魔物もいないし、アリエッタもイオンがいないルーク達を追い掛けてくる理由はない。故にすんなりとここを通り抜けれるとルークは考えていた。



「・・・ふぅ、濡れちゃったわね」
「仕方ないですよ、河の中を歩いたんだから」
・・・それで河の中を歩いて通ったルーク達だが、河の中を行くということは当然その身を濡らす事になる。
ジュディスが自分の体を触りながら息を吐き、アニーが笑顔を浮かべながらも服の裾を触り水を搾る。
「皆さん、少し休憩しますか?もう河の中を渡る事はないでしょうし、焚き火をおこして服を乾かす時間くらいは取れると思いますが・・・」
「そうだねぇ・・・皆がいいって言うんなら私はいいと思うけどどうだい?」
「・・・いいんじゃねぇか?服が濡れてっと気持ち悪くて仕方ねぇしな(まぁ今の状態なら少しは余裕あるだろうしな・・・それにこのメンバーって俺を除いたら全員女だし、女が体を冷やすのはよくないって言うし)」
そこにすずが焚き火の提案をしてナナリーが賛同して周りを見る姿にルークは内心を隠しながら同意する。今は特に急ぐ必要もないからと女性陣を気にかける形で。
「・・・では私は焚き火の材料を集めてきます」
「私も行くよ、すず」
「じゃあ私達は少し場を移りましょう。流石にここで焚き火をしては通り道の邪魔ですから」
周りも否定を返さず頷く姿にすずとしいなが材料集めだと場を離れ、アニーの呼び掛けに適度に拓けた場所へとルーク達は移動していく。
(・・・なんだろうな。全員じゃないし俺の知ってる皆じゃないにしても、またアドリビトムの皆とこんな形で旅をする事になるなんて・・・あんな形で皆を裏切っておいていいんだろうか・・・)
そこで先を歩くジュディス達を見てふとルークは気持ちが重くなる考えを抱いていた・・・自分の行動により起きた結果とは言えかつてを思わせるような今の旅の心地よさを自ら手放したと言うのに、再びその心地よさを受け入れているという自責の念で。
「・・・あら、どうしたのかしら?こっちを見て」
「っ・・・別になんでもねぇよ。ただ付いてってるだけだろ」
そんな時休憩場所について振り返ったジュディスの声にルークは不機嫌そうにで返すが、考え事に集中していたことで反応が多少遅れた。
「フフ・・・それにしては随分と視線を感じたけれど、もしかして水に濡れた皆を見てたのかしら?体のラインが強調された皆を」
「なっ・・・そうなのかい!?」
「そう言えば少し返しも遅かったですけど、まさか・・・!」
「んな目で見るわけねぇだろ!考え事をしてた時に声かけられて反応が遅れただけだっつーの!」
しかしその遅れが予想外の反応・・・すなわち性的な目で見ていたと捉えられることになった。ジュディスの気にしてないどころか余裕の含まれた微笑からの言葉にナナリーとアニーが驚きと共に自分の体を抱くが、全くそんなつもりのなかったルークは謂れのないことだけに結構本気の怒声で否定を返す。



・・・確かに今の水に濡れた体のラインに独特の艶を浮かべた女性陣の姿は、見るものが見れば魅力的だろう。それこそロニにゼロスにレイヴン辺りがいれば興奮の言葉をかけただろうが、その姿に注目していなかったルークからすれば言い掛かり以外の何物でもなかった。



「どうだかねぇ・・・本気になるところがむしろ怪しいんだけど・・・」
「心当たりのねぇこと言われて気分いいわけねぇだろ!第一俺はそんなキャラでもねぇしそんなに関心もねぇんだよ!」
「あら、キャラはともかく関心もないのはどうしてかしら?貴方が王族であるということはともかくとしても年頃の男の人がそういった事に興味がないのは」
「えっ・・・まさか、男の人に・・・!?」
「それこそ有り得ねーっつーの!つーかなんでいきなりんなこと言われなきゃなんねーんだよ!ホントにんなとこ見てなかったっつーのに!」
だがジト目で疑うナナリーにヒートアップするルークは強く否定を返すが、ジュディスにアニーと来て終いにホモ疑惑までかけられより一層の怒声で返す。











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