焔の決意と知りし者達

「・・・どこに行ったんだよ、ルーク・・・」
「つーかいきなりどこに行ったんだよ、あのお坊ちゃんはよ」
そんな中でロイドが弱った声を上げ、スパーダがルークに対する悪態をつくような声を上げ、周りも大体が似たような声でざわざわしている。
「皆、落ち着いて・・・ジェイ、ルークの情報は入ってきてないの?」
「それが・・・ライマの城を出てからのルークさんの足取りはほとんど掴めてないんです。不自然な程に」
「不自然?」
「えぇ・・・ライマの王族であるルークさんの姿形はライマの中ではそれなりに目立つんですが、そんなルークさんが人にほとんど見られず痕跡も残さない程の状況で失踪するのはまず無理なんです・・・あのルークさんでは」
「ちょっと待って、ジェイ・・・ルークでは無理って、どういう意味・・・?」
「・・・言葉を選ばずに言わせていただきますが、あのルークさんが誰にもバレず痕跡も残さず一人でライマの城から抜け出すことが出来ると思いますか?」
「「「「っ!?」」」」
騒がしくなる場にアンジュが制止の声を上げ、情報屋としてのジェイに報告を願う。しかし情報はないと微妙そうな表情で言うばかりかその情報の無さがあまりにも不自然と告げるジェイに、ルークを知るメンバー達はその言い方にハッと驚きの表情を浮かべる。
「・・・ちょっと待って。ルークがライマの城からさらわれた、という可能性はないのかしら?そこまでいけば、第三者の介入も考えられると思うのだけれど・・・」
「それはありません。僕の元に入った数少ない情報では共通して一人でどこかに向かってる物でしたから、第三者がルークさんをさらったという事は有り得ません。もっとも自分から第三者の元に行った可能性もありますが、どちらにせよ自分の実力でほとんどの人達にバレず抜け出たという事実に変わりはありませんよ」
「・・・そう」
そんな中一番早く立ち直ったのかジュディスがさらわれた可能性を指摘するが、それはないとハッキリ否定された上にルークの実力だと示された事に微妙に表情を悲し気に歪めてそれを受け止める。
「・・・ジェイ、どこにルークが行ったのか予測はつかないのかい?」
「・・・それは、正直に言って予測がつきません。ルークさんがライマから出てからの足取りを全く掴めてませんので、もしかしたら最悪の事態も考えられます」
「最悪の事態って、まさかルークが死んだって言うのかい・・・!?」
「えっ・・・!?」
「落ち着いてください、ナナリーさん。もしかしたら、です。それにその為にこうやって再びアドリビトムに皆さん集まったんじゃないんですか?」
「えぇ、そうよジェイ」
今度はナナリーが行き先についての予測を問うが、分からないと言いつつ最悪の可能性と言い含めるジェイにたまらず詰め寄ろうとする。周りもその姿に興奮しかけるがすかさずジェイはナナリーに制止をかけアンジュに話を振れば、力を込めて頷く。
「今こうして集まっているのはルークを探すため・・・残念ながらライマにいて問題に深く関わってるアッシュ達に元の世界に戻ったカイル達はここには来れなかったけど、このメンバーで探せばルークの行方を掴めるはずよ。皆・・・絶対にルークを見つけるのよ!」
「「「「あぁ(はい)!」」」」
そして場をまとめるように告げられたアンジュの一同を代表する宣言に、混乱しかけていたメンバーは一斉に了承を返す。
『・・・そなたらがルークを探す必要はない』
「っ、誰!?・・・貴方は・・・!」
「お前は・・・世界樹の中に、戻ったはずじゃ・・・っ!」
だがそんな場に一つの声が響き、一同は声の方へと振り向く。そこにはローレライを横に従えたディセンダーの姿があった。







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