緩やかに向かう道
「今はこうやって物理的に距離が離れてて行き来が出来ないからいいかもしれないけど、船がバチカルに着いてからティアがまた貴方の事を詰め寄らないとも限らないわ。いえ、むしろそうしない可能性の方が低いでしょう・・・でもハッキリ言って、そうなったなら貴方自身もそうだろうけれど見ている私達としても迷惑なのよ。一々会話を止められて、理不尽な怒りを向けられて・・・正直、うんざりだわ」
「あっ・・・もしかしてヒルダ、ティアに対して相当怒ってる・・・?」
「今は怒ってはいないけれど、その事を考えると気分が良くないのは間違いではないわ。ウィル達はアドリビトムでティアと交流してたから耐性なりなんなりついてただろうけど、私からすれば少なくともこちらのティアは不快でしかないわ」
「そ・・・そこまで言ってしまうんだ・・・」
そこからルークに一緒にいさせることからティアへの辛辣さを心底から鬱陶しいといった様子で口にしだしたヒルダに、ルークは擁護も出来ずにヒクヒクと口元をひきつらせる。ティアに対して無遠慮すぎる事この上ないが、関係の薄いヒルダだからこそ出てきたその言葉を否定出来るような材料が今のルークにはなかった為に。
「・・・まぁとにかく、これから先の事を考えればよりティアがお前に何かを言ってきたりして関わってくる可能性は相当に高い。一人に絶対になるなとは言わんが、用心を兼ねてこれから俺達と共にいるようにしてくれ。でなければ面倒な事になりかねん」
「・・・あぁ、そうする。あのティアは俺の言葉で素直に理解してくれるとは思えないしな・・・」
横から何とも言い難そうなウィルがあえて再度共にいることを願うように念押しをすると、ルークは複雑そうに頷く。言葉が届かないと、ティアに対してそんな認識をしなければならない辛さを感じつつも・・・
「・・・やはりもうこの状況ではアッシュさんにナタリア様の二人を頼れないでしょうから、ルークさんの存在が無ければティアは部屋から出てすら来ませんか・・・」
「ジュディスからの言葉がダメージがあったのもそうだが、やはり今更俺達と交流なんて気にはならないんだろうな・・・」
・・・一方、その頃のタルタロス。
通路の片隅で船室の扉を見ながら、ヒューバートとアスベルの兄弟二人は室内にいるティアについて話していた。
「別に僕は彼女と交流したいという気持ちはありませんけどね。ルミナシアの方はまだマシな方かもしれませんが、こちらの彼女は明らかに面倒としか言いようがない。むしろ今までの態度を翻して、一転友好的な態度を取ってくる方がかえって不気味です。今なら偽者が彼女に化けたと言えるくらいに」
「それは言い過ぎ・・・とも言い切れないのが何ともって気持ちになるんだけどな・・・」
眼鏡を押さえながらティアに対して辛辣な言葉を上げていくヒューバートに、アスベルは頭をかきながら苦く否定を返せないと漏らす。
「・・・そもそも、彼女は本当にルークさんの事が好きなんでしょうか?」
「え・・・そうだからこっちに戻ってきたんだろう?ローレライの話だと」
「えぇ・・・ですがルミナシアでのティアも含め、様子を見る限りではルークさんに対してそういった素振りを見てはいません。本当にルークさんの事が好きとまでは行かずとも、惹かれているならもう少し分かりやすいリアクションがあって当然だと思うのですが・・・少なくともあのティアさんが演技をしていたとは言えルークさんに対し、そういったリアクションはおろか視線を向けた姿を僕は一度も見ていません」
「あっ・・・そう言えば、確かに・・・」
それで更にふと思ったといったように声を上げるヒューバートに、アスベルも同感する。今のティアがルークに好意の態度の欠片も向けてない事に。
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「あっ・・・もしかしてヒルダ、ティアに対して相当怒ってる・・・?」
「今は怒ってはいないけれど、その事を考えると気分が良くないのは間違いではないわ。ウィル達はアドリビトムでティアと交流してたから耐性なりなんなりついてただろうけど、私からすれば少なくともこちらのティアは不快でしかないわ」
「そ・・・そこまで言ってしまうんだ・・・」
そこからルークに一緒にいさせることからティアへの辛辣さを心底から鬱陶しいといった様子で口にしだしたヒルダに、ルークは擁護も出来ずにヒクヒクと口元をひきつらせる。ティアに対して無遠慮すぎる事この上ないが、関係の薄いヒルダだからこそ出てきたその言葉を否定出来るような材料が今のルークにはなかった為に。
「・・・まぁとにかく、これから先の事を考えればよりティアがお前に何かを言ってきたりして関わってくる可能性は相当に高い。一人に絶対になるなとは言わんが、用心を兼ねてこれから俺達と共にいるようにしてくれ。でなければ面倒な事になりかねん」
「・・・あぁ、そうする。あのティアは俺の言葉で素直に理解してくれるとは思えないしな・・・」
横から何とも言い難そうなウィルがあえて再度共にいることを願うように念押しをすると、ルークは複雑そうに頷く。言葉が届かないと、ティアに対してそんな認識をしなければならない辛さを感じつつも・・・
「・・・やはりもうこの状況ではアッシュさんにナタリア様の二人を頼れないでしょうから、ルークさんの存在が無ければティアは部屋から出てすら来ませんか・・・」
「ジュディスからの言葉がダメージがあったのもそうだが、やはり今更俺達と交流なんて気にはならないんだろうな・・・」
・・・一方、その頃のタルタロス。
通路の片隅で船室の扉を見ながら、ヒューバートとアスベルの兄弟二人は室内にいるティアについて話していた。
「別に僕は彼女と交流したいという気持ちはありませんけどね。ルミナシアの方はまだマシな方かもしれませんが、こちらの彼女は明らかに面倒としか言いようがない。むしろ今までの態度を翻して、一転友好的な態度を取ってくる方がかえって不気味です。今なら偽者が彼女に化けたと言えるくらいに」
「それは言い過ぎ・・・とも言い切れないのが何ともって気持ちになるんだけどな・・・」
眼鏡を押さえながらティアに対して辛辣な言葉を上げていくヒューバートに、アスベルは頭をかきながら苦く否定を返せないと漏らす。
「・・・そもそも、彼女は本当にルークさんの事が好きなんでしょうか?」
「え・・・そうだからこっちに戻ってきたんだろう?ローレライの話だと」
「えぇ・・・ですがルミナシアでのティアも含め、様子を見る限りではルークさんに対してそういった素振りを見てはいません。本当にルークさんの事が好きとまでは行かずとも、惹かれているならもう少し分かりやすいリアクションがあって当然だと思うのですが・・・少なくともあのティアさんが演技をしていたとは言えルークさんに対し、そういったリアクションはおろか視線を向けた姿を僕は一度も見ていません」
「あっ・・・そう言えば、確かに・・・」
それで更にふと思ったといったように声を上げるヒューバートに、アスベルも同感する。今のティアがルークに好意の態度の欠片も向けてない事に。
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