避けえぬモノと向き合い越える

「くっ・・・!」
一方で残されたティアは周りの目も気にせず、苛立ちに表情を盛大に歪める。
「・・・話を聞けなかったことに怒りを覚えているの?それともジェイドが貴女を丸め込んだことに対しての怒り?」
「っ、貴女達には関係無い事よ!」
「・・・そう、この後に及んでそういったことを言うのね。貴女は・・・」
「っ・・・!?」
そこにジュディスが近付き理由を問うが尚も怒りながら話すことを拒否したティアに、今までに見せたことのない見下すような冷笑を浮かべてたまらず息を呑ませる。明らかに空気が変わった上によくない事が起きると予感せざるを得ない様子だったために。
「・・・貴女がそういうことを言うならもうそれで構わないわ。その代わり私達は常にこれから彼と一緒にいるようにするから」
「はっ!?なんでそんなこと・・・!」
「だって今まで散々貴女は私達に言ってきたじゃない。私達には関係無い事だって私達が何か聞いたりしてもね。それでここで貴女と信頼関係を築いてたりもう少し理性的な対応をすると分かってるなら彼の為になるかもと引いて上げてもよかったけど、散々関係無い関係無いと言われてきたんですもの・・・だから私達は貴女の意見は聞かないことにするわ。だって貴女の意見は私達には関係無いことだもの・・・貴女に遠慮する必要なんてないわ」
「なっ・・・!?」
ジュディスはそんなティアの予感を正解だと言わんばかりに、自分達の取る行動について宣言し絶句させた。ティア自身の言葉を用い、皮肉めいた中身を持ってルークと共にいることは邪魔されるいわれはないといったことで。
「ちなみに言っておくけれど、私達には関係無い事と言うのもそうだけど貴女とルークの問題だからと言うのも主張として筋違いと言っておくわ。貴女は自分と相手が信頼関係を築いているとでも思うからルークに対して不信とか怪しいとかそういう気持ちがあって、それで自分は正当な主張をしているといった気持ちがあるのかもしれないけれど、力不足で謡将にロクにダメージも与えられないばかりか逆に大ダメージを負い、助けられた後は単に彼の戦いを見ていただけ・・・そんな貴女に謡将と真っ向から立ち向かって援護がありとは言え倒した彼を糾弾するのはな、おかしいとしか言えないわ。だって彼があんな風に動けていなかったら貴女はおろか、アッシュも今頃生きていたかどうかも怪しいのだから」
「「っ!?」」
更に間を空けず言い訳を封じるようアッシュも含めて助けられた事を持ち出したジュディスに、アッシュも含めてティアはハッとする・・・ティアはまだ治療が可能な段階の怪我で済んだがルークの助けがなければアッシュはライフボトルでの蘇生すら出来ない状況になった可能性があると、その時の状態を思い出す形で。
「だから彼に積極的に関わりたがらないアッシュはともかくとしても、貴女が彼の事を上からの目線で一方的にまくしたてるのはお門違いもいいところよ。むしろ貴女は彼に感謝すらしなきゃいけない立場にいるはず・・・なのに明らかにそれを気にせず文句しか言いそうにない貴女は、彼の事を考えているのではなくただ自らの気持ちが納得することを優先してるだけ。つまり貴女が言っていることは単なるわがままよ」
「わ、わがまま・・・!?」
そして結論としてその行動は何かというのをわがままとハッキリ口にしたジュディスに、ティアはそんなこと言われると思っていなかったとばかりに愕然とした表情になる。自分には当てはまらない事と思っていたという様子で。









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