避けえぬモノと向き合い越える

「さて・・・仕切り直しといこうか」
「くっ・・・!(実力がバレた以上、ここで下手に手加減したら逆に後が面倒になる・・・それにアッシュは援護となるかはわからないけど、今なら皆も他の戦いが終わってるから援護に来てくれるはず・・・!)」
そしてヴァンが改めて自身をターゲットとして剣を構えた事に、ルークは油断なく構えつつも本気で戦うことを考えつつ援護が来るだろうと考える。






・・・だが30秒も戦う頃にはルークの予想と反する形で、完全にヴァンとの二人の戦いとなっていた。誰か援護するどころか、アッシュさえも手出ししない形でだ。
「・・・だあぁぁぁぁぁぁっ!見てねぇで手伝えテメェらぁぁぁぁぁぁっ!(何でアッシュすらも手を出してこねぇんだよ!?)」
ヴァンと激しく剣を交えていく中でルークはたまらず怒声を上げる。完全に援護すらない状況に。



「・・・あれが、あの屑の本当の力だと言うのか・・・!?」
「どういうこと・・・本当にあれが、今のルークの腕なの・・・!?」
「ヴァンが強いとは言ってましたが、まさかここまでとは・・・!」
「・・・謡将の言っていた通り、ルークは力を隠していた・・・と言うことですか・・・」
そんなルークに叫ばれた一行の中、オールドラントで元々関係していた面々は唖然とした様子の三人と何かを感じるよう静かに呟くジェイドと、感じかたは違えど距離を空けてただ見ているだけといった様子である。四人はルークの声に反応した様子も手助けしようという気持ちにもなっていないのは容易に分かる。
「・・・アッシュ達も唖然としてっけど、まさかここまでルークが戦えるとはな・・・」
「うん・・・全くヴァンさんと比べても見劣ってない・・・」
そして四人と離れた位置でその光景を見ていたユーリとクレスは二人並び、ルーク達の戦いを見て似たような感想を漏らす。そのルークの本当の強さに感嘆する形で。
「・・・お待たせしたわね。シンク達の捕縛は完了したけれど・・・この様子じゃ、手を出すのは野暮かしら?」
「・・・ルークさんは手伝えって言ってますけど、今の状況で手を出すのは少しはばかられますよね・・・」
そこにジュディスがアニーと共に来て捕縛の完了を口にし、アニーも複雑そうに同意する。ヴァンが作り出した空気の為か、手を出すのは躊躇われる・・・二人だけで戦わせるべきと、そんな空気があると場の全員が感じている様子で。
「だがルークだけに任せてもし敗れた場合、取り返しがつかんことになる・・・こういった事になるとは思っていなかったが、今の状況はむしろ好都合だ。そろそろルークを手伝うぞ」
「そうだね・・・でもあの戦いに下手に助勢なんてすると、逆に足を引っ張りそうだからね・・・だから術で援護するよ!」
「そうだな」
更にリオンとナナリーが来て本格的に援護すると、術の詠唱へと取り掛かる。



「ネガティブゲイト!」
「エアプレッシャー!」
「ぐぅっ・・・!」
「よし!畳み掛ける!」
「ぐぉっ・・・!」
そしてすぐに二人から援護の術が同時にヴァンに入りたまらず体勢を崩した所に、ルークが一気に斬りかかりたたらを踏む。
「よしっ、終わりだ!はあぁぁぁっ、くらえっ!レディアントハウルゥゥゥッ!」
「うおぉぉぉっ!?」
その上で機を得たとばかりにすかさずルークは奥義のレディアント・ハウルをヴァンの腹に直撃させ、苦悶の叫びを上げさせた。









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