避けえぬモノと向き合い越える

(よし、ここで俺が攻撃っと・・・!)
「ぐっ・・・!」
一方、ルークはアッシュの攻撃の後に続いて剣を振るいヴァンの腹を掠めるように攻撃を加えダメージを与える。
(うん、イケる・・・ティアがいないなら、アッシュに合わせるのは全然楽だ・・・!)
そんな連携による攻撃にルークは内心手応えを感じる。これならやれると。



・・・ティアは二人が息ピッタリのコンビネーションを見せて戦っていると感じたが、実は違う。単にアッシュの攻撃に合わせてルークが動いてるだけであって、アッシュがルークと息を合わせているわけではない。つまりはルークがうまくやっているから今の状況が生まれているのであって、アッシュは好き勝手戦っているに過ぎないのである。



(どうして・・・あれだけ二人が息を合わせられてるの・・・それに今のルークがあんなに強い、なんてどういうことなの・・・!?)
だが端から見ているティアはルークが合わせている事に気付けてないのだが、ルークがヴァン相手に戦えている実力に驚いている事に目が行っている事も理由にあった。



・・・ティアからして実に不本意ではあるが、アニーの言葉は相当に心に響いていた。だが同時に今のルークは自分と同じくらいかそれより下だと、同じ時間を旅してきた事があるからそうだと思っていた。自分と同じくヴァンと戦う事もまともに出来ない所か、下手すればアッシュと並び立って戦える筈もない・・・それくらいのレベルだと。

しかし現実は違って食い下がる所のレベルではないばかりか二人がかりとは言えヴァンと戦えているし、何よりティアの思い込みの激しい思考からの目で見てもルークの動きは明らかに今までと違って見えていた。まるで別人かと思うくらいに。



(どうして・・・今のルークにあんな力があるなんて・・・何で・・・!?)
いきなりのルークの変貌に驚くティアは呆然として、その光景を何故と眺めるしか出来ない。
(・・・よし、アニーの陣のおかげもあって大分調子よくなってる・・・これなら時間をかければイケる・・・!)
そんなルークは近くで援護をしてくれるアニーの存在に感謝しつつ、戦闘にまた集中する。アッシュとの共闘を続けながら。


















・・・ティアが動けないままに戦いは進む、ルーク達とヴァンの所だけでなく周りで戦うアドリビトムに六神将達の所も共に。

そうやって戦いの時間が過ぎるのだが、状況は次第に動いていった。



「・・・ぐっ・・・うあっ・・・!」
「よしっ!ラルゴを倒したぞ!」
「なにっ!?」
激しく続いた戦いの中、攻撃に耐えきれずにラルゴが倒れこんで苦悶の声を上げて動けずにうずくまる・・・その様子にユージーンが辺りに聞こえるような通る声でその事実を言い、リグレットの動揺の声がまた響く。
(ラルゴが倒れた・・・となると、周りの方もそろそろ決着がつきだす頃になるか・・・!)
ルークも当然その声に気付きつつも考える。次第に周りの六神将も倒されていく頃になるだろうと。
(後は俺達も師匠を倒す事に集中しないといけないんだけど・・・アッシュもアニーも頑張っちゃくれてるんだけど、ティアがどういうわけか大人しくなってるのもあって他のメンバーに比べてダメージが与えられて無さそうってのがな・・・)
だがその反面で自分達がメンバーの中で遅くなるだろうという予想が経ったことに、ルークは少し苦い気持ちを抱く。ティアの事があるにしても、攻撃力が他のメンバーと比べて明らかに足りていない事が分かるために。












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