避けえぬモノと向き合い越える

(・・・これでいいのかしら、アリエッタと戦わずに済む状況なのは・・・いえ、少なくとも教官達も交えての戦いをする中では不確かな戦力で挑む事の不安が多いのも事実・・・今はこの戦いに集中しないと・・・!)
一方、ティアは状況的に多少は不満を覚えつつも好転したのだと自身に言い聞かせる。
「では、改めて・・・戦うとしようか。人数の不利こそあるが、問題と呼べる程ではあるまい」
「はっ・・・こんな奴らなどどうでもいい。肝心なのは俺がお前を倒すということだけだ!」
(アッシュ・・・あぁ、もうっ!勝手に突撃してっ・・・!)
そのままヴァン開始するといったように言えばアッシュが真っ先にと剣を抜いてヴァン目掛けて走り出し、場にいた面々が戦いに入る中でティアは苛立ちながらも自らも戦うべく杖を手に取り先へ向かう。





















・・・そこから戦いは一気に始まり激化していったのだが、状況はアドリビトムのメンバーがヴァンと六神将の分断をしたために乱戦にはならなかった。

その為に一人に三人から四人と言った人員で事に当たれていたのだが、問題となった面々がいる・・・それがヴァンと対峙する面々だ。



「だーっ、くそっ・・・やりづらい・・・!」
「ルークさん、大丈夫ですか・・・?」
「俺は大丈夫だけどよ・・・」
「やはりあっちが、ですか・・・」
戦いの中で少し離れた場でルークは気持ちを吐き出し、その隣にいたアニーが心配そうに声をかけるが目の前に原因はあると視線を向けられあぁと納得する・・・明らかにヒートアップした様子でヴァンに挑んでいるアッシュとティアの姿を目の当たりにして。



・・・アッシュとティア。最初からこの二人は誰と戦うのかを決めていたとばかりに真っ直ぐにヴァンへと突っ込んでいった。そんな中でルークはヴァンとの戦いにこだわらず最初は周りを見ながら戦っていたが、進んでいく状況でアニーと共にヴァンと戦うようになった・・・が、そんな状況になってもアッシュとティアは二人と協力するような素振りなどないのだ。特にティアは譜歌での援護より近接の技をメインとして、自らがヴァンの首を取らんばかりに戦っている。

ハッキリ言ってこの状況はルークとしてはやりにくいとしか言えなかった。アッシュだけならまだやりにくいなりにやりようがあるとルミナシアでのロニール雪山の件があるから言えるが、協力しないのがティアまでな上に近い位置で戦われるとなればやりやすく動くのは相当に難しい。精々ヒットアンドアウェイで二人の邪魔にならないようにと機会を伺いながら戦うくらいで、到底まともに戦える筈もない。

だがそんな周りに目がいってない二人と協力が出来ない事以上に厄介な事が一つある。それは・・・



(今の状況で協力出来てないことよりまずいのは、予想以上にティアの力が師匠に通じてない事だ・・・元々からの身体能力でもティアと師匠には大きな差があるのは重々承知はしてるけど、以前よりロクに戦ってきてない事がここに来て大きくなってる・・・そして師匠はロクに連携の取れてない二人の攻撃に対応していってるのが分かる・・・このままじゃ悪い方に均衡が崩れる・・・!)
その中でアニーに心配させまいとルークは内心で考えを巡らせるが、とてもいい状況ではないと苦い気持ちを抱く。



・・・そう、ここに来てのティアの実力不足が響いてきているのだ。まだ強さのレベルが低い相手なら何とかなったかもしれないが、ヴァン程の実力者相手では頼りになるような物ではない。

ただそんなティアの攻撃でもアッシュとちゃんとした連携を組めたならまだやりようがあっただろうが、バラバラな戦いかたをしていてはちゃんとしたフォローを互いに出来るはずもないし、互いのミスをカバーするような余裕も気遣いも出てくるはずもない。

そしてヴァンがそんな二人のまとまる気のない行動を黙って見ているはずも対応も取らないはずもなく、次第に慣れてきているとルークはその動きから見て取っていた。このままでは二人が危なくなると。












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