避けえぬモノと向き合い越える

・・・そして船は程無くしてワイヨン鏡窟の入口へとその身を着ける。



「・・・ここは我々が抑えます!皆様は早く先にお行きを!」
「ありがとうございます、セシル少将!」
・・・船を入口に着けた瞬間、兵士達は一斉に行動を開始した。タルタロスに向かい制圧をしようと試みる者に、鏡窟内にいた神託の盾兵の鎮圧に向かう者と言ったよう。
戦場となった入口でセシル少将がルーク達に先に行くようにと願い、クレスを始めとして一同は一斉に頷き奥の方へと走り出す。








・・・そのようにしてキムラスカとマルクト両軍の兵士に助けを借りつつ奥の方へと進んだルーク達は、十数分後に目的の存在がいる前へと辿り着いた。



「・・・ヴァン!」
「・・・これは驚いた。話にこそ聞いてはいたが、まさか本当にお前がレプリカと共にいるばかりか戦おうとここまで来るとはな」
「ハッ!この屑と一緒かどうかなんざどうでもいい!テメェのやろうとしてることは俺が止める!」
・・・フォミクリー装置の設置されている空間の前にいた六神将も含めたヴァン。
そこに来たアッシュからの声に余裕を持った笑みを浮かべヴァンは対峙し、すかさず剣を抜いて突き付けながら宣言する。ルークがいようと戦うことに迷いなどないと。



「ど、どういうこと、ですか・・・アッシュもそう、ですけど・・・イ、イオン様とどうして、戦わなきゃならない、ですか・・・!?」
「「「「っ・・・!」」」」
(あ・・・そういやこっちに戻ってきてから初めてアリエッタと会ったけど、特別他の六神将も含めて戦った時ってないな・・・その事を考えると今のアリエッタは俺達だけならまだしも、イオンとこんないきなりの状況で訳もわからず敵対ってのは動揺するのは当然か・・・)
・・・そして周りの面々も一気に戦闘の為に身構え戦いに入るかと思った時、アリエッタの場違いに幼い動揺が容易に聞き取れる言葉に一斉に両陣営は戦闘の空気を霧散させてハッとする。
そんな中でルークはそのアリエッタの様子はある意味正しいものと感じていた、覚悟も何もない状況でイオンと敵対出来るような性格ではないと。
(・・・よし。この状況を利用してどうにかアリエッタを戦闘に参加させないようにして引き剥がそう。流石にこんな状況で死なれるとなると、俺も嫌だしな・・・)
「・・・あ~、どういう状況かわかんねぇけど、要するにそこのお前は今がどういう状況なのか分かってねぇのか?」
「あ・・・は、はいです・・・」
「だったら下がってろよ。こっちとしちゃ戦う気がねぇからってお前にだけ手加減出来る余裕なんてねぇんだ」
「え・・・あ、その・・・」
それでも考えを瞬時にアリエッタを戦わせない方向に行かせると巡らせたルークは、一同の中で先に状況を理解して戦うなと面倒臭そうに言うと、アリエッタはどうするべきかと両陣営を何度も交互に見るよう視線をさ迷わせる。
「・・・あのレプリカの言うことを聞くのは少し癪になるが、アリエッタは下がっていてくれ。私達のみで戦おう」
「っ、よろしいのですか閣下?」
「今の状況ではアリエッタに万が一の事も有り得る。ならば我々だけで戦った方がまだ安全だ」
「・・・アリエッタ、下がっていろ。後は我々がやる」
「・・・はい、分かりました、です・・・」
(・・・師匠が真っ先に同意したのは意外だったけど、5人で戦えば勝てるって見込んで言ってるんだろうな・・・ただそう簡単には行かせない・・・ここで俺達が負けたら、今までの事が全部無駄になるんだからな・・・!)
そんな案に賛同したのはまさかのヴァンでリグレットも納得させて力なくアリエッタは頷いて後退するしかなく、ルークは内心で意外に思いつつも気持ちを引き締める。アリエッタがいなくとも負けられないと。








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