避けえぬモノと向き合い越える

「・・・とりあえず俺から言えることはここまでだ。後はアッシュに聞きに行くんだろうが、ナタリアがいない隙を狙っていくんなら夜にでも行ってくれ。多分日中に行ったってナタリアが離れてるとか、話をしたいって時に場を自主的に離れてくれるとは思えないしな」
「分かりました。流石にナタリア様に今の時点でこの話を聞かせる訳には参りませんので」
「後・・・出来ればでいいけど、話を聞いたらその中身について俺に話をしに来てくれないか?」
「え?それは、何故でしょうか?」
それで自分の事は締めくくりとしつつ話を進めるルークはアッシュと話した中身を聞かせてほしいと願い、セシル少将はどういうことかと首を傾げる。
「・・・アッシュの答え次第で俺の考えというか、気持ちが決まるからだ。さっきも言ったろ?俺がどんな考えかを」
「っ!・・・そういうことですか・・・分かりました、その時の話については報告に参ります。誰にも気付かれないようにしながらこちらに来る形で・・・」
「そうしてくれると俺も助かる」
「いえ・・・では、私はこれで失礼します」
ルークが表情を暗く落としながら先の事を持ち出し、セシル少将もすぐに気まずげな表情になりそうすると約束した上で頭を下げて部屋を退出していく。
「・・・あ~、騙してるようじゃなく本当にセシル少将を騙してるから心苦しいな・・・でも今までやり遂げてきたことだし、もう今更後にも引けないしな・・・」
再び一人になったことでルークは背からベッドに倒れこみ、苦い表情を浮かべずにはいられなかった・・・久しぶりに何も知らない人を直々に騙していると感じてしまった為に。
「・・・ダメだ、気持ちっていうか考えを切り替えよう・・・とりあえずセシル少将がいつこっちに来るか分からないから、今日はミュウを部屋には置けないって言うか一緒にはいてやれないな。後で今日は別の所で寝るように言わないと・・・」
それでも凹んだままではいられないと考えを変え、ミュウと今日は離れておかねばとルークは考える・・・船というスペースの限られた空間の中でミュウと一緒にいては、セシル少将と話をするために移動しようとしたとしても自分も話を聞くと付いてくる事も十分有り得た為に。
「・・・お~い、起きてっか~?」
「あ、ユーリにカロル・・・どうしたんだ?」
「ミュウがこっちに来てセシル少将が話をしたいから僕は外に出てほしいって言われたからこっちに来たって言ったから、何があったのかって聞きに来たんだよ!」
「あぁ、ラピードの方に行ったのか・・・」
そんな時に二人が入室してきた為に体を起こしてルークが用向きを問うと、ミュウの事を元気いっぱいに報告するカロルにそこに行ったのかと納得する。
「そんで、一体何があったんだ?」
「簡単に説明するとキムラスカに戻るのか、戻りたいのかって父上達から聞いてくるように言われたからセシル少将はこっちに来たんだ。ただまだセシル少将にはアッシュの事を後で話をしてもらわないといけないことがあるから、今日はユーリ達って言うかラピードの所でミュウを預かっていてもらえないか?」
「・・・まぁそいつは構わないが、セシル少将にはお前がどうしたいのかって明かしたのか?」
「ちょっと言いにくかったけど、そこについちゃ話はしたよ。そろそろ決着を色々つけなきゃならない時間も近付いてきてるしな」
「・・・ルークは覚悟は済んでるのは分かるけど、アッシュは今頃どう考えてるのかな?」
「アッシュだって戻りたいって気持ちは十分にあるだろうけど、戻れないとも考えてると思う。主に俺の事が問題になる形でな・・・でもアッシュもアッシュでどうにか決着をつけたいって思ってるだろうし、セシル少将との会話で意識するだろうからそこから先はもう神のみぞ知る・・・って奴かな」
「・・・神のみぞ知る・・・ねぇ。ま、考えなんかとかより意地しか優先しないだろうけどな・・・アッシュは」
それで更に会話を進めていく中でカロルからの問いかけにルークは困ったような笑顔を浮かべるが、ユーリはそっと誰にも聞こえないような音量で呟く。アッシュに対して温度を感じさせない、冷めきった声で。










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