避けえぬモノと向き合い越える

「・・・まぁ質問に答えてもらったから俺も正直に答えっけど、ここでどんな話をしたとか俺の考えについちゃアッシュには言わないでおいてくれ。俺の所より先に来たとでも言っとくかなんかする形でな」
「それは、どうしてでしょうか?」
「俺の考えをアッシュが素直に受け入れるとなんか思っちゃいないし、何ならあいつは俺の逆を行きたいって思ってる節があるからな。だから俺に影響されないあいつの本音を聞きたいならそうしてくれ。じゃないと今言ったような事になっちまうぞ」
「・・・分かりました。そうさせていただきます」
それでも自身の考えを明かすとしつつアッシュへの行動制限についてをルークは説明もかねてし、セシル少将もそうなる事は避けたいと真剣に頷く。
「それじゃあ俺がどうしたいのかって考えについてだけど・・・正直、俺はアッシュが戻るんなら最悪キムラスカに戻れなくなることも覚悟はしてる」
「っ、それは、本当なんですか・・・!?」
「本当だ・・・この旅で色々知ることが出来たもんも多いけど、知りたくないもんもいっぱいあった・・・俺がアッシュの偽物だってこともそうだけど、アッシュが俺の事を認めたくないって気持ちもだ。それでナタリアも分かりやすくアッシュと離れることなんて望んでないって言うか、そうなることを恐れてすらいるようにいつも一緒にいようとしてる・・・そういった二人の姿を見てると、どうにもな・・・」
「それは・・・ナタリア様はまだ分かりますが、アッシュ様はどうにか出来ないのですか・・・?」
「正直、俺はそう出来るとは思えない。多分まともに説得しようとした所で誰が相手でも、特に俺じゃあいつにどうにか一緒になんて言ったって反発されるしかないのが目に見えてる・・・そしてそれを承知でアッシュを説得するにしても、その為にアッシュが何回も付き合ってくれる程気が長いなんて事はない。精々説得に付き合ってくれたとしても、どう頑張っても二回がギリギリって所だ・・・そんななのに失敗したらアッシュがキムラスカに戻るどころか、全く逆の事になる可能性が出てくる。セシル少将はそれでも無理に事を進めようと思うか?失敗する可能性の方がどう見ても高い事に」
「そ、それは・・・その・・・・・・」
(ごめん、セシル少将・・・答えにくい言い方をして・・・でもアッシュが離れるような状況は俺としちゃ望んじゃいないのは事実だし、以前のエルドラントでのアッシュと和解・・・って言うには俺も自信はないけど、そう出来たのもアッシュが焦ってたからってのもあってだから今の状況で戦ってどうにかこうにかなんてのは逆効果になりかねないんだよな。本当に・・・)
そこから自分の考えを明かすと言った風に話を進めるルークに、セシル少将はあまりの状況の難解さに加えて一度限りの勝負になる可能性が高いと聞いて視線をさ迷わせながらどうするべきかと迷う声を上げる。その光景を内心、申し訳無いと騙しているような気持ちを抱きながらルークは見ていた。
「・・・とりあえず俺の考えについちゃ以上だ。けどセシル少将、この事についちゃアッシュやナタリアにはくれぐれも言わないでおいてくれよ。今そんなことを言っちまったら、どうなるかわかんねぇんだからな」
「はい・・・ですがルーク様、それでもしアッシュ様がルーク様と共にいることを拒絶したならどうするというのですか?・・・このようなことを私の立場から言うのはどうかとは思いますが、その時にルーク様の事を陛下達が無条件に解放するとは思えないのですが・・・」
「・・・そこについちゃ気にしないでくれ、少将。どういったことになるかなんて、今はまだ分からないんだからな」
「・・・はい」
それで口止めを改めて願うルークにセシル少将は暗に良くないことが起こりかねないと心配したように声を向けるが、答えを言う気はないと視線を背ける姿に頷くしかなかった。分かってない訳ではないと、そう理解しているルークの様子をわざわざ追求をする気にはセシル少将はなれなかった為に。











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