避けえぬモノと向き合い越える

「・・・ナタリア様、これで謡将達を倒すための人員は全て船に乗られましたか?」
「はい、大丈夫ですわセシル少将」
・・・朝早い港の船の前、キムラスカの兵をまとめる代表として来たセシル少将の確認の声にナタリアは力強く頷く。
「それでは我々も船に乗り込みましょう。到着が遅れれば遅れるほどワイヨン鏡窟にいたとしても、謡将達がどこかに場所を移動させる可能性が高まります」
「はい。では我らも船に乗りましょうナタリア殿下、フリングス少将」
二人の近くにいてマルクトの兵をまとめる代表として来たフリングスは自分達も早く乗るべきと言い、セシル少将が了承した事で三人もまた船の中へと向かう。









・・・それで港よりルーク達を乗せた船は出港した。一路ワイヨン鏡窟を目指して。



(これからしばらくの時間船か・・・どうしようかな、やれることも少ないし・・・)
そんな船の一室でベッドに腰掛けながら、ルークは空いてる時間をどうするかと考える。
‘コンコン’
「ルーク様、少しよろしいでしょうか?」
「セシル少将か?いいぞ、入っても」
「はっ、では失礼します」
すると控え目なノックと共にセシル少将が来訪してきた為、ルークは思考を中断して少将を招き入れる。
「それで、俺に何か用なのか?」
「そうなのですが・・・出来ればそのチーグルを外してはいただけないでしょうか?人に知られるにはあまり好ましくない話ですので・・・」
「(何となく何が言いたいのか想像ついたかも・・・)・・・分かったよ。つー訳だ、しばらく誰かの所にでも言って時間潰してこい。俺が戻ってきていいっつーまでな」
「はいですの」
ルークがすぐに用向きについて問うと何か言いにくそうにミュウを外してほしいとセシル少将が言ってきた為、用件が何か想像出来たとしつつミュウに外に出るように言い、了承の返事と共にミュウは部屋を後にしていく。
「・・・すみません、ルーク様」
「気にすんなって・・・それよっか用件は何だ?」
「・・・ではお答えしますが、私は・・・アッシュ様の事も含め、どうなさりたいかを公爵様より聞くように言われてこちらに参りました」
「っ!・・・どうしたいか、か・・・(やっぱそうか・・・父上に叔父上達からしてもうまくいけばもうその問題と向き合わないといけない時間は迫って来てるわけだしな・・・)」
ミュウが部屋から出て申し訳なさそうにするセシル少将に用件を問うと、その中身が予想通りだったために内外のズレなく重い気持ちを浮かべる・・・自分達の決着を待つより先に探り程度だろうが、セシル少将を介して二人がどうなるかを聞きに来た事に。
「・・・質問に答える為にも何個か聞くが、アッシュにはもう話をしに行ったか?」
「いえ・・・今ならルーク様は一人に近い状況にあると聞いたので、まずはルーク様から参ろうかと・・・」
「そうか・・・んじゃ次に、セシル少将は俺達の事についちゃ父上達から全部聞かされてるのか?」
「・・・どこまでが全部かとは分かりませんが、少なくとも謡将の件から今のお二人の状況が生まれている・・・とまでは」
「そこまで知ってるなら問題ねぇけど、最後に後一つ・・・父上達は俺達がどういった風な答えを出すのを望んでるか、聞いてなくても少将が予測出来る範囲で答えてくれ」
「・・・それは・・・・・・私の勝手な予想ではありますがどちらともに戻っていただきたいという心情はあるものの、出来るならどちらかが帰ってくるだけでもまだいい結果と見ているのではないかと思われます。話を聞いた限りではお二人の仲があまりよろしくないことは私もお聞きしたので・・・せめてどちらかだけでもと思っているのではと・・・」
「あ~・・・はっきりしちゃいないけど、そういった風に考えてる可能性が高いって事か・・・」
ただルークは質問に答える前に質問といった声を向けると、最後のセシル少将の極めて言いにくそうな声に何とも言い難そうに漏らす。立場的に言いにくいのは当然と。










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