避けえぬモノと向き合い越える

・・・ルークが来る決戦に向け決意を固めているその一方、ダイクロフトに待機している組も併せてアドリビトムの面々は解散としたにも関わらず一ヶ所に再び集まっていた。



「・・・さて、明日から向かうワイヨン鏡窟についてだが戦力としては別に問題はそこまでないだろう。問題なのはアッシュもそうだが、やはりティアだ」
「「「「・・・」」」」
その場で話を始めるユージーンが口にしたティアの名前に、アドリビトムの面々の空気が重くなる。
「今までの行動から鑑みるに、ティアは俺達の事を頼りにして動いてはくれんだろう。むしろ邪魔者扱いか、精々よくて他の六神将を相手にしてもらう弾除けもしくは時間稼ぎ要員といったくらいだろうな」
「となるとやはり、ヴァンさんにティアさんは一直線に向かうということですか?」
「十中八九まず間違いなくな。リグレットならまだ有り得るかもしれんが、他の六神将相手に躍起になるとはまず思えん。いいところ来たら相手をするが精一杯と言いたい所だろうが・・・ルークから聞いた廃工場で取ったような行動を取る可能性は非常に高いと思う」
「「「「・・・」」」」
ユージーンが話していくティアの問題となり得る行動にミントが確認の問いを投げ掛けると、ルークからの話を持ち出しながら周りを見ないだろうと返すとメンバー内に何とも言い難そうな空気が漂う。



・・・それもそうだ。アドリビトムの面々はティアの逆行こそ知ってはいるが、ルークから道中の話を聞くまではティアもある程度のレベルまでは戦えるという認識でいたのだ。しかしその廃工場の件で一撃の威力もさることながら、冷静に状況判断するための力すら弱いという結果が明らかになってしまった・・・これは関係が良くないとは言えそこからの旅でしばらく道中を共にしなければならないアドリビトムの面々にとって結構気がかりな事だったのだが、ここに来てその件が重くのし掛かってきた。道中で六神将クラスとは言わずとも、強敵と言えるような相手が全くいなかったことから大して今まで問題でなかった為に。



「かといって俺達がやるからお前達はそこで見ていていいと特定の名指しをせずにルーク達にまとめて言ったとしても、アッシュ達も含めて余計な事だと言うのが関の山だろう。そして俺達の誰かがフォローした所で感謝もしないだろうが、ティアが他ならぬ自身のせいでミスをしたとて俺達のせいだと言ってくる可能性は相当高いだろう」
「ならどうする?それこそあいつは生半可な事では止まらんだろう。僕達だろうが誰だろうが制止の言葉をかけてもな」
「・・・もう罵倒を覚悟でティアのフォローをする以外、無いだろうな。気は進まんだろうが、中途半端な助けはかえってこちらの方の危険にも繋がるのは目に見えているからな」
「・・・フン。今更ヤツの好意など欲しいとは思わんが、一々不当な怒りを向けられるかと思うと確かに気は進まんし鬱陶しくすら思うな」
ユージーンはそんなティアが自分達を邪魔としか思ってない態度について上げていき、リオンが対応策について聞くが自分達が我慢するしかないと返されいつものらしい皮肉・・・と言うよりは単純な本音を口にする。そんなもの面倒だとばかりに。
「・・・いいんじゃないかしら?そこまで私達がティアをフォローする事を念頭に置かないで」
「えっ・・・いきなり何を言ってるんだ、ジュディス・・・?」
だが意外な言葉がジュディスから出てきたことに、ロイドを始めとした皆が一斉に視線を集中させる・・・聞きようによってはティアを見捨てる判断を下したと取れる発言だった為に。










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