「・・・話を戻させていただきますが、ワイヨン鏡窟にいる可能性が高いということですが時間が経てば経つ程に謡将達はどこか別の場所へと移動する可能性は高いでしょう。ですからインゴベルト陛下にお頼みしたいのですが、バチカルにある船を我々に使わせてはいただけないでしょうか？」
「何？ということはそなたらが直々にヴァン達を倒しに向かうというのか？」
「はい、そうしたいと思っています」
そんな空気をあえてぶち壊すよう話を進めるヒューバートだが、その中身に本気かとインゴベルトは尋ねる。ヴァン達と戦うという事についてを。
「我々は実力を自慢する訳ではありませんが、腕利き揃いだという自信を持っています。その上で謡将達を征伐するためにと大船団などを編成し、物々しい様相で近付けばあちらは奪ったままのタルタロスで全力で迎撃に走るかもしくは一目散に逃げるかという二択の内どちらかを選択するでしょう。ただそれで前者の場合は相応の被害を覚悟の上で戦うことで結果は得られるかもしれませんが、後者を選ばれて逃げ切られた場合は取り返しのつかない事態を謡将達が引き起こしにかかる可能性は一気に高まるでしょう」
「っ・・・自分達が狙われていると知って、か・・・」
「はい。そのような事態を避けるには海戦になるような状況を避け、ワイヨン鏡窟内で陸戦での勝負に出るべきだと思われます。大船団ならともかく船が一隻・・・それもキムラスカ所有の物が近付いたとなれば、あちらも迂闊に事を荒立てまいと慎重になるでしょうからそこを狙う・・・という形でです」
「うぅむ・・・不意を突くという事か・・・」
それで自分達の腕について自信を述べた上で戦略を明かしていくヒューバートに、インゴベルトも納得といったようにうなる。
「ちょっと待ってくれ・・・流石にお前達に全て任せて俺達は何もしなくていいなんてのはこちらからしてあまり気分がよくないんでな。だからその出立の際にはマルクトからも兵を派遣したいからそいつらを共に連れていってはくれないか？」
「・・・うむ、そうだな。そなたらが腕に自信があるのはいいが、ヴァンの配下の兵達までもを相手となれば苦戦を強いられるだろう。だからキムラスカからも兵を派遣させてもらうから、合同で事に当たってはくれぬか？」
すると話を聞いていたピオニーが自分達にも役目をと兵の派遣についてを切り出し、インゴベルトもその案に乗っかる形で自分達もと言った上でどうかと問い掛ける。
「・・・お二方がそのように言ってくださった事には感謝の意を示します。ただそうしていただくというのなら、その兵士の方々に関しては我々も含めたこのダイクロフト関連の事を口にしていただかないよう厳命するとお約束ください。度々申し上げていますがこのダイクロフトに行き来が可能だとか、経由して向かったなどとの噂が出るのは避けたい事ですので」
「分かった、それくらいのことでいいなら兵にはその事は口にしないように厳命する・・・と言いたいが、もうここまで来たんだ。ダイクロフトとお前達住民について、明かすだけなら別に構わないんじゃないのか？まぁここの特性上、以降は人を招くことは慎重になるだろうから無くなるとは思うが・・・」
「む・・・確かにいい加減、ここにそなたらの事くらいは明かしてもいいと思うがそれは駄目なのか？」
「・・・その件に関しては後に訳をお話します。少なくとも謡将達が行動を起こす前に止めてからでなければ、その訳を明かしたとしても水泡に帰する事になりますから」
「・・・そう言うことなら無理強いは出来んか。こちらは散々お前達に助けられた身だからな」
「・・・となれば、我々も無理をしてまで聞く訳にはいかんか」
ヒューバートはなら口止めが条件と返し両陛下は何故そこまで隠すのかと聞くが、意味深ながらも今は言えないと真剣に返す様子に二人は強く出れないとすぐに引く。











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