なだらかでも綺麗でもない道

「今申し上げましたが、一応外殻大地と障気についてどうするかに関してはメドは立っています。そちらに関しては我々にお任せしていただけるというのであれば皆様が協力してくださるというのであれば対策は出来ますが、謡将達に関しては出来る限り早く見つけ出しその動きを封じねば後の禍根になることはまず間違いないと見ていいかと思われます」
「うぅむ・・・確かに今の状況で他の外殻大地までもが魔界に落ちるか、もしくは崩落したとなれば我々以外の人々は混乱に至るだろうな」
「それにアクゼリュスのように崩落したとなれば、先に魔界に降下したセフィロトに支えられていた大地と違い、そこに住む人々の命はまず助かることはない。その上謡将達がその気になればキムラスカにマルクトだけでなく、果てはダアトまでと目標を選ばず動く可能性すら出てくる・・・となればやはりそちらが言うよう、早目に謡将達をどうにかすることは優先事項にしなければならんだろうな」
「ご理解していただき、ありがとうございます」
更に他の問題についてのメドは立っているからと強調するヒューバートに両陛下も重々しく納得し、その様子にそっと頭を下げる。
「ただ一つ疑問なのだが、ヴァン達を捕らえるとは言ってもいる場所についての見当はつかぬのか?闇雲に探しても時間がかかることもそうだが、例え見つけたとしても一般の兵士達程度では数を重ねた所でとてもヴァン達を倒せるとは思えんが・・・」
「その件に関しましてはアッシュさんにお聞きしますが、謡将達がベルケンド以外に大きな拠点として使っていそうな場所はどこだと見ていますか?」
続けて公爵がヴァン達の居場所について聞くが、ヒューバートから話題を振られたアッシュは露骨に嫌そうに顔を歪める。
「・・・一番可能性が高いのはワイヨン鏡窟だろう。あそこはキムラスカ領でこそあるが船でなければ行けねぇ場所の上、そうそう人が頻繁に訪れるような場所でもない。他にもいくつか隠れ家はあるが、それはどこもダアト近辺で人に知られちゃならねぇ研究を行うための小規模なもんばかりだ。とてもヴァン達全員を受け入れるような広さはない上、目立つのを避けるためにもダアトに戻ることはないだろう・・・そう踏まえればワイヨン鏡窟くらいしか俺には思い当たる所はない」
「ワイヨン鏡窟・・・確かに話に聞くならあそこは格好の隠れ家と言えるが、ベルケンドに加えてそこまで私有化するとは・・・例え我々がダアトにヴァン達を信じていたとは言え、あまりにも我々はヴァン達を放置しすぎていたのだな・・・」
「陛下・・・お気持ち、お察しします・・・」
「「「「・・・」」」」
それでも自身の知識からワイヨン鏡窟が可能性が高いと言うアッシュだが、インゴベルトと公爵の会話に何とも言えない沈黙が室内に広まる。



(・・・あ~・・・何て言うか、皆感じてんのかな・・・特に俺がこんなこと言うと妙な事になりそうだから言えないけど、この二人が同情しあうのって何か言葉にしづらいけど違う気がするんだよな・・・)
その沈黙の中でルークは感じていた、申し訳無い気持ちこそあるが二人の姿は何かが違うと。



・・・実際は二人が同情しあうというか、あたかも自分達も被害者なのだとばかりのいった態度がおかしいのだ。色々知っていて、放置していた前歴を踏まえると。

しかしルークは二人も被害者というか騙された立場だと思うからこそ、そういった考えを持ちたくないというか避けているのだ。だがそれでも周りの空気を感じた上で自分も何か違うと思える辺り、相当二人の空気はおかしな物というのは間違いない物と言えた。












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