なだらかでも綺麗でもない道

「そんなことないさ、アニーに私が勝てるなんて私も思っちゃいない・・・それにもう、勝ち負けじゃないと思うんだ。ルークの事に関しちゃね」
「え・・・どういうことですか、ナナリーさん?」
「私だって女だからね・・・男の人とずっと夫婦として仲良く添い遂げたいだとか、暖かい家庭を作りたいとかっていう理想みたいなのはあるさ。でもね、ルークの立場に考え方を考えると・・・これからルークがどうするかを選択するにしても、ルークは大手を振って自分がルークだって言えるような暮らしを出来るとは思えないし選ばないだろうからね」
「っ・・・・それは、そうですね・・・あの事があるにしても、そうなるのは避けられない事になるでしょう・・・」
ナナリーはそんな姿に謙遜しつつもルークの先についてを寂しげに口にすると、アニーも理解したと暗い面持ちを浮かべる・・・立場もあるがルークの考えとして、日の目を見るような生活に戻らないだろうと。
「・・・そんなルークにさ、私や他の皆が思うような普通の幸せを望むっていうのはキツいと思うしルーク自身も申し訳無い気持ちって奴を抱くと思う。でもさ、私としちゃそんな事があるからってルークには幸せになれないとかっていうことは我慢ならない・・・だからさ、普通に考えたら私がやろうとしてることはおかしいとかって言われることなのはわかっちゃいる。けどそれだからこそ私が悪く言われるようなことになったとしても、ルークには色々な事を知ってほしいのさ・・・例えその結果として、ルークから望まれるのが私のカラダだってことになってもね」
「っ!・・・じゃあナナリーさんはそうなってもいいと、覚悟の上であんなこっを・・・」
「ルークならそんな風にはならないだろうとは思うけど、ルークはそういったことに対して関心事も低いっていうか積極的じゃないってのは十分に今までで承知してるからね・・・だから後がどうなるにしたって、今の私の気持ちを伝えたいのさ。あんたの味方だってことを、このカラダでって形で表現する形でね」
「・・・だからあそこまで、ナナリーさんは大胆に行けたんですね・・・ルークさんに対する気持ちがあるからこそ・・・」
そんなルークだからこそ気持ちをカラダで示したい・・・そう決めたとナナリーが笑顔を見せる様子に、アニーも重く理解する。いつものようといったように振る舞ってこそいるが、ルークへの想いでナナリーが相当の決意をしているのだということを。
「そういうこと。私が別に勝ち負けじゃないって言ったのが分かったろ?・・・まぁ分かってくれとは言わないさ。普通に考えたらこんなこと許されるようなもんじゃないしね。でもルークの為ならそうしたいって思う気持ちに偽りはないよ」
「はい・・・今までのナナリーさんの話は嘘ではないと、私も思いました・・・」
「悪いねアニー・・・あんたの気持ちを薄々感じちゃいたけど、あんなことをしちまって・・・」
「・・・いえ、いいんです。その代わり、ナナリーさんの話を聞いて私も決めました」
「えっ?」



「・・・私も、ナナリーさんと同じようにします」



「はぁっ!?」
それで自分の覚悟を語った上で謝るナナリーだが、アニーが意を決した表情で明かした言葉に逆に驚かされた・・・反対するどころか、まさか自分に同調するとまで言い出したことに。









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