なだらかでも綺麗でもない道

「さて、こんな空気じゃ話を続けるのもどうだろうってなるし私らは部屋を出るよ。いいよね、二人もさ?」
「は、はいそれは・・・」
「じゃ、じゃあ戻りましょう・・・それじゃあ失礼します、ルークさん」
「あ、あぁ・・・じゃあな、三人とも・・・」
それで空気を作った当人であるナナリーが退散を切り出した事に、三人は何とも言えない様子で頷きナナリー達は部屋を出ていく。
「・・・なんだったんだよ、あのナナリーは・・・何かまた別の意味でとんでもねぇことが起きそうな気がすんのは、俺の気のせいか・・・!?」
ルークは一人残った中で頭を抱える。と言ってもヴァン達だとか外殻大地の深刻な問題ではなく、他の意味も多大に含んだ自分に好意を向けられている事に・・・



「どうしたんだい、珍しいねすず?すずがそんなに取り乱すなんて」
「い、いやナナリーさん・・・普通に考えたらすずちゃんくらいの年齢だとそうなりますから・・・」
その一方で廊下を歩きながら話すナナリーの笑顔にアニーはすぐにフォローに入るが、すずはゆっくりと首を横に振る。
「いえ、動揺というか・・・その、ちょっと・・・私一人でどう判断すればいいか、分からない事なのでどうお答えしていいか悩んでるんです・・・」
「・・・すずがそこまで言うなんて、本当に珍しいね・・・私達には何か言いにくいことなんだろ?だったら無理には聞かないからもう戻っていいよ」
「はい、では失礼します・・・」
それで常らしからぬ様子にナナリーも流石に気遣うように戻るように言えば、すずはそのまま分かれて別の通路の方に向かう。
「・・・ナナリーさん、どうしちゃったんですか?いきなりあんなことをしちゃうなんて・・・」
「・・・アニーなら分かるんじゃないかい?私、いや・・・私達が、ルークに惹かれてるってことを」
「っ!・・・そ、それは・・・」
「違うのかい?だったら私の勘違いだって事になるけど・・・」
「・・・・・・はい、違いません・・・」
「・・・素直に認めてくれたね、アニー」
その姿を見送ってからアニーが半ば批難するかのような声を向けるが、ナナリーが女性としての色気を滲ませる笑みを浮かべつつ問いを向けると恥じらったように顔を赤らめながらもコクリと頷くと、ナナリーもまた満足そうに頷く。
「・・・何て言うかさ、これまでの旅でルークと一緒にいてその気持ちとか声とか聞いていって・・・それでさっき感じたのさ。私のルークに対する気持ちってやつがどんなもんなのかってことをね」
「それが、惹かれてるって言うことなんですね・・・でも、分かります・・・ルークさんの悲しさというか、あの人柄って放っておけなくなるっていうか胸を締め付けられる気がします・・・最初は同情とかそういった風に見ていたのだとは思いますけど、今はもう・・・違います。私は・・・いえ、私もルークさんに今は惹かれてるとそう言えます」
「まぁさっきのやり取りをすずに見せたのはやりすぎだったとは思うけど、私はあぁしたこと自体に後悔は全くないよ・・・私としてはルークに想いを少しでも伝える事が出来たんだからね」
「・・・でも、酷いですナナリーさん・・・私の気持ちを理解してて、あんな行動を取るなんて・・・ナナリーさんが相手じゃ、私には勝てっこないじゃないですか・・・」
そこからいかに二人でルークに惹かれたのかということを満ちた様子で話すのだが、アニーは表情を暗くする。自分ではナナリー程の女性的な魅力はないと嘆く形で。









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