戦場に際し開き、詰まる距離

「ワフッ」
「これは、手紙?」
そのラピードが自身の懐から手紙を加えて取り出した事にジュディスはその手紙を受け取り、開いて読んでいく。
「・・・・・・これは、クレス達からの手紙のようね。中身はセントビナーに向かうことになるがこちらはまだ神託の盾に追われていて安心出来るような状況じゃない。だから僕達より先にセントビナーに向かえるような状況じゃなければ、セントビナーに向かわずまっすぐカイツールに向かうようにしてくれ。その方が安全に動けると思うから・・・だそうよ」
「成程、クレス達はこっちの状況を見越してラピードを送ってきたって訳かい・・・」
「その手紙の様子ではクレスさん達に合流するのもセントビナーに向かうのも一筋縄では行きそうにありませんね・・・追手を警戒して遠巻きにセントビナーに向かう予定でしたが、予定を変更しないと・・・」
そしてジュディスが読み上げた手紙の中身にしいなとすずが緊迫した面持ちで会話を交わし、ルークも含めた残りの面々も似たような表情を浮かべる。
(すず達は追手を警戒して遠回りしてたのか・・・神託の盾が来なかった理由についてはまぁ一先ず納得は出来たけど、これだと前のようにセントビナーにってのは無理だよな・・・向こうがどんな道を通ってセントビナーに向かってるのかが分かんないし、エンゲーブからの馬車に間に合うように向かうのも今からじゃ距離的にも時間的にも間に合うか無理だろうし・・・これだとあえてセントビナーに向かう理由はないだろうな。皆の安全の為にも・・・)
その中でルークは考える。今の状態でセントビナーには行かない方がいいだろうと。
「・・・あのルークさん、大丈夫ですか?このままだとセントビナーに寄ることなくカイツールに向かわなきゃ行けないことになると思うんですが・・・」
「・・・わかってるっつーの。街で休めねぇのは嫌だけど、危険だって言うんならしゃあねぇから我慢してやるよ」
「そうですか・・・」
「ん?・・・なんだよ、その顔・・・?」
ふとそこにアニーから心配げな声を向けられた事にルークは悪態をつきながら了承を返すが、複雑そうな顔での納得に何だと眉を寄せる。
「・・・いえ、少し気になることがあったんですけれど・・・今はいいです・・・」
「・・・んだよ、訳わかんねぇ・・・」
(今度はアニーがまたなんか変な感じだけど、ホントなんなんだよ・・・)
しかしアニーが首を横に振り話したくないとしたことにルークは頭をかき、不機嫌にそっぽを向く。半ば本心混じりに。















・・・一方その頃、ラピードを送り出した形になったティア達。



「・・・イオン様、ティア不機嫌そうですよね~・・・」
「そうですね・・・あのラピードがいなくなってからよりピリピリしているように見えます・・・」
・・・辺りを警戒するようアドリビトムの面々が周りを固める中、焚き火の前にいるイオンとアニスは少し離れた位置で明らかにイライラと分かりやすく不機嫌な表情を浮かべて立っているティアに関してヒソヒソ話をしていた。
「って言ってもラピードはティアの事明らかに嫌がってましたよね・・・近付こうと何度も試してましたけど、全部避けられてましたし・・・」
「彼はあまりにも構われるのを嫌がっていたんでしょう。僕から見てそのようなことをされるのはあまり好きそうなタイプには見えませんからね・・・それがルークという人と離れたティアの心を一層荒ませたんだと思います」
「ルーク様の事は分からないでもないですけど、これはちょっとどうしょうもないですよね~」
それでラピードとのやり取りについて語る二人だが、アニスは苦笑する。ラピードについては慰めようもない事だと。








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