なだらかでも綺麗でもない道

「・・・なんというか、変わりましたねルーク」
「俺が、変わった?」
「いえ、ちょっと言葉にどうすればいいのか分からないのですが・・・そうですね。なんというか自然な感じになった気がします」
「自然な感じ?」
その様子を見て変わったと言った後に訂正の言葉に思い至ったイオンに、ルークはどういうことかと首を傾げる。
「はい・・・今までの貴方はどこか何かを言うにしても、無理じゃないですが考えている事があるんじゃないかといった・・・これで正しいのか分かりませんが、そんな様子がありました。ですが今の貴方からはそんな感じがしませんでした。僕にかけた言葉は今までと少し違って自然に出てきた物といったように思える感じがしたんです」
「そうかぁ?・・・んなもん意識したことねぇけど、色々ありすぎて俺自身変に気張ったり意地を張るよっか分かりやすくいく方が迷わねぇとでも思ったんだろ。まだ他にも問題が山積みだっつーのに、もう俺的に答えが出てるような分かりやすいもんに一々悩む必要なんてねーだろ」
「そうなんですか・・・ありがとうございます、ルーク。貴方がここに来て話をしてくれたことで僕も少しは気が晴れました」
「おー、そうか(う~ん、これで良かったのかどうなのか分かんないな・・・俺としちゃちょっと演技でヘマをしたのかって思ったけど、それで確定でいいのかどうかも分からないから今言ったようにどうとも取れる感じに言いはした・・・これで正解だったのか・・・?)」
イオンはそう思った訳についてをどこか嬉しそうに話をし、ルークは不明瞭に誤魔化せる感じに返すがホッとしたと言わんばかりの様子にどう言えば正解だったのかと頭を悩ませる。
「・・・それで、お話はそれだけですか?」
「んあ?・・・まぁ別に他に用はねぇけど、用事が済んだらさっさと出ていった方がいいか?」
「いえ、逆です。折角ですから僕としばらくお話してくれませんか?・・・ここ最近色々ありすぎて、一人になることが多くなって誰かとお話したい気分なんです・・・」
「・・・まぁ暇だし別にいいぞ」
「ありがとうございます、ルーク・・・!」
(アニスがいない弊害かな、これは・・・イオンとしては誰かに気持ちを吐き出せる時なんてそうないだろうし、とりあえず時間もあるし付き合おう・・・)
そこからどこか名残惜しそうに見てくるイオンに思考を中断しルークは対応をするが、話をしたいと言われて是と返した時の笑顔を見て確信した上で決意する。せめてこの時間くらいは一人になりがちなイオンの事を受け止めようと。



「・・・ルークさんは導師としばらくお話をするようですね」
「そうかい・・・まぁあの子は悪い子じゃないし、それくらいはゆっくり待とうか」
「そうですね、ナナリーさん」
・・・そんな部屋の中の様子を扉に耳をつける形で伺っていたすずが耳を離して様子を報告すると、ナナリーとアニーが互いに頷きあう。
「・・・と言うか一つ思ったんだけど、イオンってルミナシアにもいたのかな?ダアトにローレライ教団が無いから導師以外の立場でいたかどうか分かんないんだけどさ」
「少なくとも宗教関連で導師の名前を聞いたことはありません。私達がアドリビトムに集まった頃がディセンダーを求める団体が出てきていたというのを差し引いても、導師が導師として出てきた情報はありませんでしたから」
「その辺りはルークさんに直接聞くべきですね・・・私達では分からない事ですし」
と、ナナリーはライマ陣の中でアドリビトムに来なかったイオンについて疑問の声を上げ、すずが知らないと根拠を語る様子にアニーもルークに聞く以外ないと返す。








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