なだらかでも綺麗でもない道

・・・それでルーク達もその部屋を出て、ティア達の待つ部屋に戻る。



「戻ったぞ・・・って、何だよこの空気?妙に陰気くせぇけど・・・」
「気にするな、話題がなかったことに加えてお前達の心配をしていたからだ」
「ふ~ん・・・(絶対なんかあっただろ・・・)」
それで部屋に入るなり明らかに空気の重い室内にルークが嫌そうな顔になりユージーンは平然とした様子で返すが、興味ないとばかりの声の裏に確信する。何かまた起きた事を。
「・・・ま、いいや。とりあえず簡単に言うと結果は成功。そんで明日には会談を行うようにピオニー陛下に伝えてくれって事と、明日ダイクロフトに向かう時に案内役が欲しいから何人かはここに泊まって欲しいだってよ」
「何人かは、かい?」
「インゴベルト陛下が何かを企んでいる可能性も否定出来ませんが、全員と言わず何人か程度だけを拘束するのは効率的とは言えません。そんなことをすれば自分で自分の首を絞めるような物ですから、そのメンバーに何かあるという危険性についてはかなり低いと見ていいでしょう」
それでもう表向き興味ないとばかりに先程の話を簡単にまとめたルークにクレスが疑問の声を上げ、ヒューバートが罠についての可能性は少ないと言うとナタリアがカチンと来たと前に出る。
「ちょっと貴方!確かにお父様は預言による戦争をすることを選んだかもしれませんが、もうそのようなことはしませんわ!」
「言ったではありませんか、可能性は低いと。僕はただもしもの危険性を排除しない方がいいと発言しているだけです」
「では聞きますが、その可能性の排除とやらに貴方はどのような考えがあるのですか?」
「少なくともルークさんにアッシュさんの二人が今日はダイクロフトで休めばそれで少ない可能性の大多数は解決すると思います」
「え・・・二人が・・・?」
そのまま抗議の声をぶちまけていくナタリアに平然と答えるヒューバートは途中で口を挟んだジェイドに解決策を答えると、ナタリアは何故二人がと勢いを消して首を傾げる。
「今殿下が言いましたが預言による戦争を陛下達が選んだことは事実ですが、大多数にそれを明かさず進めようとしていたことからまだ内密に事を進めようとしている可能性も無くはありません。杞憂ということもあるかもしれませんがそうならない、そうしないようにとするのに簡単な解決方法はダイクロフトに行ってもらって物理的に干渉が不可能な状況にすることです」
「そんな・・・そこまでするなんて・・・」
「これはあくまで念の為です。再三言ったように陛下達がこちらに手を出してくる可能性は相当に低いですが、もしもの事が起きれば目も当てられません。勿論二人の意見も聞かねばなりませんが、こちらとしては事を無事に進められる可能性は少しでも高くしたいから申し上げているという事です」
「っ・・・貴方の言い分は分かりましたが、二人は今の話を聞いてどうお考えになりましたの・・・?」
「・・・俺はもしもの可能性なんか起きてほしくねぇからダイクロフトに戻る気だ」
「ッ・・・この屑に同意するような形になるのは気に食わんが、俺もダイクロフトに戻る・・・」
「・・・そんな・・・」
それでヒューバートが二人の危険についてを語る様子にナタリアは自分に同調してほしいと言わんばかりに二人に確認を取るが、二人共・・・特にアッシュが気まずそうに予想を裏切る言葉を口にした事に、愕然としたという様子で声を漏らす。











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