なだらかでも綺麗でもない道

「・・・では決まりだな。明日、我々はダイクロフトに向かいマルクトとの和平を結ぶこととする!」
そして誰からも意見が出てこない様子を見て、インゴベルトは言い渡す。和平を明日結びに行くと。
「それではどうするか決まった所で解散と行きたい所だが、ルーク達から何かないか?」
「では私から申し上げさせていただきますが、この場におられる皆様はダイクロフトの事を信じていただけたかと思いますが、大衆には事実を話したとて一朝一夕に信じていただけるとは思えません。ですので陛下も含めて民にはダイクロフトで会談を行ったであるとか、我々の事も含めて人々に説明する際の話には出さないでいただきたいのですがよろしいですか?」
「ふむ・・・確かにそなたらにダイクロフトの事を説明してもすぐに納得してもらえる可能性は低いだろうが、一度ダイクロフトに人々を招けば問題ないように思えるが・・・」
「それらを行い信用を得るには各国の各街や村を回る事が必要になりますが、そうするには事態が急すぎて時間が足りません。和平を結んだ後に行う外殻大地の降下に障気の問題解決に、何より謡将達との対峙と様々な問題が待ち受けていますので」
「むぅ・・・まだそなた達が動くことを考えればダイクロフトにその住民の事を証明するだけの手間は省かねばならぬということか。分かった。他の者もみだりにダイクロフトの事を口にするな。事態の解決が急務という以上、下手な発言をすれば我々の身すら危うくなる事態になりかねんからな」
「「「「はっ!」」」」
それで横のルーク達に話すことはと聞くインゴベルトに答えたのはヒューバートで、ダイクロフトの事を言わないようにと詳しく・・・それでいて全てが手遅れになりかねないと説明すれば、インゴベルトもすぐに頷いた上で命令を出して貴族達も声を揃えて了承する。無駄な行動の対価があまりにも大きい為に。
「では他に何もないならここで解散とする。明日に会談をすると決めた以上はこちらもだが向こうにも準備をしてもらわねばならんからな・・・何もないな、皆?」
「「「「・・・」」」」
「・・・では解散とする!」
そしてインゴベルトが他の面子にも確認を取って何も反応が返ってこない事で、場を終わらせると宣言する。



・・・そしてその後すぐに貴族達がその部屋から出ていったのだが、ルーク達にインゴベルトと公爵はその部屋に残っていた。
「・・・正直、ここまですんなりと進むとは思っていなかったぞ」
「やはり外殻大地の危険性を直に聞いたことが大きかったのでしょう。陛下達と同様に貴族の方々も事実を聞いた事で強行して戦争をし、話に聞いた状況になれば元も子もありませんから」
「・・・まぁ説得に時間がかからなかっただけよしとしておこう」
インゴベルトはそこで流れがすんなりと進んだことにポツリと本音を漏らすが、ヒューバートからの返答に話題を掘り下げずに終わらせる。何とも皮肉めいた言葉でインゴベルトにも通じる物だった為に。
「・・・とりあえず、そなたらは部屋で待機している者達の元に戻ってくれ。そしてダイクロフトで待機しているというピオニー陛下に了承の旨を伝えてくれ。明日に会談を行うと」
「分かりましたわ、お父様」
「後、今日は部屋を用意する・・・ダイクロフトで休むというなら構わぬが、せめて何人かはこちらに残ってくれ。我々だけでダイクロフトに向かうことは出来ぬから案内役にいてもらわねば話にならぬのでな」
「分かりました。それについてはこちらで話をします」
それでダイクロフトに報告と何人か留まるように言うインゴベルトに、ナタリアとヒューバートがそれぞれ頷く。












3/20ページ
スキ