なだらかでも綺麗でもない道

・・・ティア達が主にアッシュについて話をしているその頃、ルーク達はインゴベルト達と共に貴族達へと説明している最中だった。



「・・・というわけだ」
「「「「・・・」」」」
・・・預言の事、外殻大地の事、ヴァン達の事、和平に関しての事、そしてルークとアッシュの事・・・横にルーク達をつけて全てを話終わるインゴベルトのまとめの言葉に、貴族達は揃って黙りこんだ。当然と言えば当然だろう・・・あまりにもブッ飛んだ中身にその量だ。理解をしろというには何も知らなかった面々では、すぐには難しいとしか言えない。
「・・・諸君、まだ混乱していることだとは思う。だが今の状況が一方ならない物であることは皆も理解したはずだ。その上でピオニー陛下は明日にでもダイクロフトで会談を行いたいということだが、率直に聞きたい・・・明日行うかどうかはおいておくにしても、和平をする事に異論があるものはいるか?わしにクリムゾンは話を聞いて、明日にでも行うことに前向きでいるがそなたらの意見を聞きたい・・・今までそなたらにまで内密に事を進めてきて何を今更と思う者もいるかもしれんが、これよりの世界の事を考えればキムラスカとマルクトの因縁も含めた上でいがみあうだけならまだしも、戦争を行うにはあまりにもリスクが高過ぎるのだ。それらを含めて、意見を出してもらいたい」
「「「「・・・」」」」
だがそれでもとインゴベルトは真剣に貴族達に話を進めていき否応なしに考え込ませる。嘘偽りなく語るその中身がいかに重く、軽々しく見栄やプライドだけで決断を出来ないと思わせる物だっただけに。
「・・・・・・私は、和平を行ってよろしいかと思います・・・そのような話を聞いて尚、我々だけで事を進めることは無理であると思いました・・・やはりその状況をどうにかするには、マルクトと和平を結ぶ以外に後の事を無事に進める以外に出来ないかと・・・」
「私も、そう思います・・・大詠師の事は薄々といった程度には何かあるとは感じてはいましたが、そのような事情であったことに加えてその大詠師が亡くなった今となっては・・・私はマルクトとの決着を望む開戦派と自他共に認められては来ましたが、預言に詠まれたのだからと強行は流石にとても言える物では・・・」
「ふむ・・・では他に反対とまではいかずとも、思うところがあるという者はおるか?おらぬのであれば、他の者も二人と同じような考えであると我々は認識するが・・・」
「「「「・・・」」」」
そんな中で二人の貴族が自身の立場に考えを苦渋といったように切り出す姿に、インゴベルトは納得した上で反対意見をと見渡しながら聞くと一斉に視線が背けられる・・・今の二人と同じような考えを抱いているのもあるのだろうが、キムラスカどころかオールドラントすら終わらせかねない選択の発言はしたくない・・・そういった責任逃れの気持ちが端から見ればそう滲んだように見える様子で。
「・・・では決まりだな。我がキムラスカはマルクトと和平を結び、共存共栄を目指すこととする!・・・後は明日和平を結ぶかについてだが、急だという事を踏まえた上で向こうの立場を考えてもわしはそうするべきではないかと思うが・・・少し間を空けるべきかどうかなどといった意見でもいい。何かあるなら言ってほしい」
「「「「・・・」」」」
そんな姿に高らかと宣言をした後に会談の時期についての是非を聞くが、先の選択の流れを継いでいる為にまた貴族達から否定の声はない。そうしないことの方が間違いではないかと思わせる流れなだけに。








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