戦場に際し開き、詰まる距離

‘ビタンッ!’
「おわっ!?・・・っつぅ~・・・なんでいきなり飛ぶんだよ・・・?」
そして一同を乗せた蛙は地面に独特の音を立てて着地し、ルークはジュディスから手を離し腰に手を当てながら顔をしかめる。
「タルタロスの入口は流石に神託の盾も警戒していたでしょうから多少無茶をさせていただきました。すみません」
「あ~・・・言うんならさっさと言っとけよ、体痛ぇ・・・」
(すずの判断は間違っちゃいないし、ここで無理に怒ったって時間取るだけだからここまでにしとかなきゃな・・・)
端で蛙が姿を消す中ですずが頭を下げる姿にルークは文句と痛みに顔をしかめるが、内心はこれでいいと考える。
「じゃあ急いで場を離れようか。いつまでもこの場にいたら神託の盾がいつ追い掛けてくるか分からないからね」
「そうですね、行きましょう」
「大丈夫かしら?辛いなら、肩を貸すけれど」
「馬鹿にすんなよ。行くんならさっさと行こうぜ」
「えぇ、行きましょう」
それでしいなが場から離れようと言い出しアニーも同意すると、ジュディスが微笑を浮かべルークに手を差し出すが痛がるフリなだけなのでルークは首を振って断りを入れる。ジュディスはルークの返答にさして表情を変えず答え、一同はその言葉を後にタルタロスから急いで離れようと走って去っていった。















・・・ルーク達とティア達に分かれ、タルタロスから逃げ出した一行。そんな二組のタルタロスからの脱出から時間は過ぎ、夜となった平野部。そこにルーク達は焚き火を囲む形で座していた。



(・・・なんだろうな。ここに来るまで神託の盾の追撃を受けることはなかったけど・・・これってティア達に目が行ってるからなのか・・・?)
焚き火の前でジッと頬杖をつきながら火を見るルーク。そのルークの内心は今この場に来るまで神託の盾の姿が見えなかった事に考えが行っていた、どこか不自然に思えるようなその状況に。
(それに何て言うか・・・途中で思ったんだけど、何かセントビナーに向かうっていう進路を取ってる感じがしないんだよな・・・って言っても逃げるのに必死で、後から気付いたんだけどな。セントビナー方面ってより、まっすぐ南下してるような気がするけど・・・これに気付けてるのか、皆は・・・?)
そして共に疑問に思っていた進路方向の違いについてルークは考えを向ける。以前の経験もあってセントビナーには向かってないのではと思う形で。
「どうしたのかしら?」
「ん・・・なんだよ、別にどうもしてねぇぞ」
「いえ、横から見ていて悩ましげな表情をしていたように見えたから声をかけたのだけれどダメだったかしら?」
「・・・別に何にもねぇよ。見間違えだろ」
「そう」
(あぶねぇ・・・何か表情に出てたのかな。ヘマをしたつもりはなかったんだけど・・・)
そんな時ふと自分の顔を覗きこんできたジュディスに眉を寄せるが、表情が違っていたと言われ内心冷や汗を浮かべながら視線を反らす・・・ルミナシア世界でも自身の事を誰にも悟らせる事なく済ませてきた自分の演技に、不備があったのかと。
「・・・ん?」
と、思考がマイナス方向に行きかけたが向けた視線の先にルークは何かを見つけた。
「・・・ワフッ!」
「あら、ラピード。どうしたのかしら?」
その何かとは暗闇の中から現れたティア達のグループにいるはずのラピードで、ジュディスは近寄ってきたラピードに話し掛ける。










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