「・・・そう、一番厄介なのはそう言ったナタリアとルークの態度と気持ちが真逆にあることだ。これはまだナタリアの方なら何とかなるかもしれんが、ルークの方は俺達がどうこうして改善出来る可能性は相当に低い。そしてそれらを両立させる事は更に可能性が低くなるだろうが、それを為すためにはさっき言ったよう・・・アッシュの嘘偽りのない本音を引き出すことと、その上で二人と納得がいくまで会話をさせることだ」
「・・・そうするのが難しい事は今までの話で分かりますが、肝心の三人とも仲良くなれる可能性はあるんですか？僕達にやれることは・・・」
「心苦しいかもしれんが、そこから先は三人の中だけで話をさせるべきだ。むしろそこまでの段階で俺達が動いていて尚も三人仲良くするようにしろと言えば、アッシュの事だ。折角そこまでお膳立てしたのに、何故お前らの言うことなど聞かねばならんと突っぱねる事は間違いない・・・そこから先は本人達次第で、俺達が出来るのはそこまででしかない。そしてその話し合いが平穏無事、三人仲良く終われるかは・・・個人的には本当に可能性は相当に低いと見ている」
「そんなっ・・・そんなことになるかもしれないのに、僕達は黙ってなきゃいけないなんて・・・」
「そうよ！私達が黙ってそうなるくらいなら、口を出した方がよっぽどマシよ！」
「・・・そうやって無遠慮に仲良くしろと言って、喧嘩別れになって後悔するのはお前達ではない。三人の方がより悔いが残る可能性が高い、そうだとしてもそう言うつもりか？」
「うっ・・・そ、それは・・・」
ユージーンは相当にお膳立てをしても仲直りする可能性が低いと言い、イオンが苦し気に声を上げた事にティアがたまらず口を挟んできたがすぐに失敗した時の事を言われて口ごもる・・・流石に自分のせいで三人の仲を完全に終わらせる事は出来ないと感じてしまった為に。
「ふぅ・・・ティア、俺達の事を気に入らんか？」
「えっ・・・い、いきなり何を・・・！？」
「いいからまずは答えてくれ。俺達の事が気に食わんという答えでももうこの際構わん。正直な気持ちを言ってくれた方がむしろ今はありがたい」
「それ、は・・・・・・正直に言うなら、確かに気に食わないわ・・・でも、それは貴方が言わせたことよ！と言うかこれが一体何の関係があるのよ！」
その姿にタメ息を吐いてから自分達が好きかと念入りに聞くユージーンに、流石に正直に言うのをためらった後に自分のせいじゃないとばかりに理由を言えとティアはまくし立てる。
「・・・お前が自分の考えを持っているのは別に構わん。俺達に悪印象を持たれても正直な気持ちを話そうと思ったのも、三人に仲良くしてほしいと思うことも・・・だがアッシュもそれを持っているんだ。自分の考えというやつをな。そしてそういった考えを言葉にするのが対話になるが、それは時として譲れない思考のぶつかり合いになることがある。それが強い気持ちであればあるほどにな・・・ティア、お前は俺達の事は正直に言ったがアッシュに関しては二の足を踏むような姿勢になった。そんな相手と結果を選び、失敗を怖れるようなお前が俺達の言うことに考えもなく口を挟むな！」
「っ！！」
ティアの心根の甘さを盛大に突いたユージーンの一喝が突き刺さり、たまらずティアは青くなった表情でたたらを踏んだ。いかに物事を考えず自身の気持ちだけを中心にして発言をしているのか、そしてユージーン達がそれらをどう受け止めていたのか・・・その一喝に込められていたのを感じ取ったが為に。













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