望まぬ道と言うが望む道とは何か

「アッシュは自分の気持ちと考えの、どちらを優先するべきかという確固たる決意がない。強いて言うならキムラスカに戻る気はないという考えの方に傾いているが、今言ったようにナタリアへの気持ちは今も存在している・・・そしてアッシュ自身、言葉にしないし思うことを避けてこそいるだろうがその事を感じているだろう。だがアッシュがその表現方法を知らない事が、苛立ちの原因の一つにあると俺達は思っている」
「原因の一つ、とは?」
「他にも理由があると見られるからだ。その中で分かりやすいのはルークと一緒にいるからだろうが、他の理由に関しては検討がつかんのでな」
「まぁそうですね。理由が一つとは限りませんし」
ユージーンはそこに更に話を続けていき理由の一つと言い、まだ他にも理由はあると言われてジェイドも納得する。
「そうだ。それにアッシュがあぁいったようになったのはヴァンの影響も大きいのもあるし、ルークがいるという事実があるからだ。それで今話したこと全てまとめてアッシュに言ったとしたなら、ルークが気に入らないということに関しては全力で肯定するだろうがそれ以外は怒るなどして明確な答えを返すことはないだろう。むしろお前は自分の気持ちの表現の仕方が分からないんだとでも言えば、より躍起になって怒りこれが俺の意志だと意地になってこちらを突っぱねてくる姿が目に見えている」
「そうでしょうね・・・アッシュは自分の気に入らない事、いえこの場合は核心とでも言いますがそこを突かれるとなったら反発するでしょう。それこそ先程の勢い任せのティアとのやりとりのよう、後がどうなろうが知ったことではないと言うような怒りを見せる形でね」
「っ・・・!」
その上で当人にその話をしても逆効果と言うユージーンにジェイドはティアへの批判を交えつつ頷き、そのティアはまた怒りを必死に殺すように下を向き歯を噛む。
「そうなれば困るのはこちらもだが、何よりもアッシュもだと見ている」
「アッシュも?」
「勢いで口にしてしまった物を間違ったからそれを取り下げるなんてことを、アッシュが言うように思うか?ましてやもし俺達から離れていって、後で辛い状況になったからといって俺達・・・特にナタリアを頼りに戻ってくると思えるか?」
「まず有り得ないですね。彼の性格を考えれば自分のみっともないところを見せることなど、したくないことの上位と言えるでしょうし。そしてそれがナタリア相手だというなら尚更です・・・そうなったら最悪、意地を張って死ぬことすら選びかねないでしょうね」
「そこまで言うんですか、ジェイド・・・?」
「えぇ、むしろそう考えているからこそ彼もそういった話をしているのです・・・まぁ彼の腕を考えれば傭兵紛いな事をしても生きていけないことはないでしょうが、だからこそ一層ここでアッシュと離れるような事になればそれで終わりです。例えアッシュが後で本意でない別れかたをしたと思ってもその事実があるから戻ることはしない、必要な事だから来て欲しいと言われてもまず協力はせず一時なら協力はしてもそれもすぐ終わる・・・と言った形になってね」
「「・・・っ!」」
ユージーンはその流れから自分達の元に戻るか否かと聞きジェイドの迷いの見えない答えにイオンは不安げに問うが、真剣にその状況についてを口にされた事にティアも共に息を呑んだ・・・下手な事をしたらそれこそアッシュと今生の別れになりかねないという事態になりかねなかったという事を改めて感じ。









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