望まぬ道と言うが望む道とは何か

「ふぅ・・・さて、これで一先ずは安心と言いたいですが・・・少し釘を刺しておいた方がいいでしょうね」
「釘って・・・私の事ですか・・・?」
「・・・むしろ今の状況で何故自分ではないと思うのか、私は不思議でなりませんがね」
六人がいなくなった後で安堵といった様子からティアの方に体ごと向き直るジェイドに当人は不安げに疑問形で返した為、呆れたように眼鏡を手で押さえる。
「・・・さっきの事でしたら、すみませんでした」
「・・・悪いと思ってるなら構わないというようには、初めて会った子どもがかわいいイタズラで迷惑をかけた程度なら私も鬼ではありませんからすぐに許しはします。ですが貴女とはこの旅で結構な時間を共にしていますし、何回も注意の言葉を向けてきました。そして先程のやり取り・・・アッシュがどうして一緒にいるかという気持ちに関してはまだ理解は出来ますが、あぁまで喧嘩腰になってまで聞くことだったとは到底言えません。その事を踏まえお聞きしますが、あの時貴女は頭に血が昇っていましたね?」
「・・・・・・はい、そうです。認めたくはありませんが・・・」
「・・・ふぅ」
流石にティアも申し訳無いといったよう頭を下げる姿にジェイドは厳しい言葉をかけた後に問いを投げ掛けるが、言葉通り認めたくないという気持ちが滲んだ肯定に嘆息する。
「・・・気持ちは分からんでもないがあまり言い過ぎるな、ジェイド」
「・・・意外ですね、貴殿方も取り返しのつかない迷惑を被りかねなかった所だというのに」
「ここで同じような事をするなと口酸っぱく言うだけなら簡単だ。単にこちらの気持ちを言葉に乗せればいいだけだからな」
「っ・・・!」
そこにユージーンが制止の声をかけてきたことにジェイドは暗に止めるなと言わんばかりのピリついた声と中身で返すが、ユージーンにしては珍しく暗に批難の気持ちを持つのは当然といった返しにティアは瞬時に苛立たしげと言ったように睨んでくる。
「・・・この通りだ。俺達とお前、どういった基準で考えているかは知らないが似たような事を言っても俺達では反発を受けるだけ・・・ただそこでジェイド。お前の言葉はすんなり受け入れていると言ったように反応しているが、それでも今までの行動である程度感じているだろう。自分の言葉は耳に入れているだけで、実際はそれを心に刻み込みそうする事はまずない・・・衝動が起きればすぐさま忘れてしまうだろうということを」
「・・・あぁ、成程。確かにそうですね。私の言うことは聞きはしても、それをまともに聞き入れた行動をしてはくれませんでしたからね」
「なっ!?大佐、私はそんなことはしてません!」
「貴女はそのつもりで行動をしていたのでしょうが、少なくとも彼が言ったよう意地になって周りの状況を全く気にしなかった時は今までに何度もあったでしょう。それらを一度ならいざしらず、何度も繰り返されれば私の言うことは聞いてしかいないも同然といっても過言ではありません。少なくとも私はユージーンの言葉でそう思いました」
「っ!・・・そんな・・・」
その視線に臆する様子もなくユージーンはジェイドの言葉すらまともに聞いていないと言い、本人が納得する様子にたまらずティアは自己擁護に入ろうとするが、何回も繰り返した行為について返され流石に事実なだけに言葉を失う。
「・・・と言っても、こうやって行動を共にする以上またアッシュの事で何か起きかねん。だからこちらが考えたアッシュに対する考察についてを話すことにしよう」
「・・・え?」
だがそんな空気から一転してアッシュの事を話すというユージーンに、ティアだけでなくイオンもどういうことかというキョトンとした表情になる。









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