望まぬ道と言うが望む道とは何か

「・・・それで、どういうことなの?アッシュ」
「っ・・・!!」
(あぁぁぁぁぁぁっ!!マジでやめてくれティア!!ここでアッシュが機嫌を損ねて俺達から離れたら最悪二度と見付からなくなんだぞ!!かといって俺が何か言っても今の状況にアッシュの様子じゃ、俺だってだけで事態が酷くなりかねないし・・・!!)
更に周りの空気など知らないとばかりに確認の声を向けるティアにアッシュは拳を握りこみながら歯をこれでもかと食い縛り、ルークは内心で絶叫する。これは自分では打開しようがない状況だと。
「・・・・・・何で俺が、テメェにそんなことを言わなきゃならねぇんだ・・・!」
「・・・何で、と言うことはやっぱり何か訳があるから私達と一緒にいるのね?それこそ、ルークと一緒にいることを我慢してでも行動を共にする何かが」
「っ!!」
(そこに気付くなよティア!!と言うかそっから先を無理にでも喋らせようとしたなら、本当にアッシュがキレる・・・!!)
「ちょっと待って!どうしたの、ティア!なんでそんなこといきなり言い出したの・・・!?」
(よっし、カロルナイス!よく止めてくれた!)
それでもアッシュがキレずに返すがティアの追求に一気に目をギラリと深く開いた事にルークはまた内心で絶叫したが、アドリビトムの面々から飛び出してきたカロルの慌てた声にいいタイミングと内心ガッツポーズを取る。
「・・・何でも何も、私はただ聞いてるだけよ。アッシュが何故そこまでして私達に付いてきているのか、その性格を考えての不自然な状態についてをね」
「だから、なんで今聞いてるのかって言ってるんだよ!分かってるの!?この状態がどんな状態なのかってことをさ!」
「・・・どんな状態?」
「ティアはアッシュについて気になるから聞いたんだろうけど、その言い方ってアッシュがどういう考えなのか言わないと許さないみたいに聞こえるけど、それってアッシュが怒ってここから出ていっても訳を言わないならそれでいいみたいに聞こえるんだよ!?もしそうなったならティアはどうやって責任を取れるって言うの!?」
「えっ・・・!?」
・・・ここでようやくティアもカロルの言葉に自分のしたことに気付いたようで、ハッと息を呑む。
カロルと険悪なムードのままで話をしていたが、叫ぶように言われた言葉に思わず辺りを見渡してから表情を青ざめさせる。
(よかった・・・これ以上の追求をされると本当にアッシュがキレてどっかに行ってもおかしくなかったからな・・・)
ルークはその光景に表も裏もなくホッと胸を撫で下ろす。



(そうだった・・・思わずアッシュに聞いてしまったけど、ここでアッシュが怒りに任せて出ていこうとしたなら私はどうしようとしてたの?・・・多分、私はそうするならそれでいいとか言ったかもしれない。後になってインゴベルト陛下達にどう思われるか、どう後が進むのか・・・一切そんなことを考えずに・・・!)
一方でティアは自分がやったことの結果がどうなるかについてを考え、血の気が引く思いを抱いていた・・・自分のせいで今までうまくいっていた流れが全て台無しになりかねなかったと、そういった事態になりかねないと感じてしまった為に。
「・・・フン、随分と好き勝手言ってくれたが所詮その程度か・・・だったら初めからそんなこと聞いてんじゃねぇ!」
「っ・・・!」
そんな萎縮した姿にここぞとばかりに威勢よく返すアッシュに、ティアは悔しげに睨み返すしか出来ない。下手にアッシュの機嫌を損ねたらそれこそどうしようもなくなりかねないと感じたがために。












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