望まぬ道と言うが望む道とは何か

・・・そんなことを考えながらもルークは他の面々と共に行動し、兵士に案内されて待機の為の部屋へと入った。



「あの・・・すず、少し聞いてもいいですか?」
「何でしょうか?」
それで部屋に入ってすぐ、イオンからの質問の許可を願う声がすずに向けられる。
「何故自分達もその場に行くと言ったのでしょうか?正直、そこまでする必要はなかったのではないかと思いますが・・・」
「いえ、まだこのバチカルと言うか陛下達が完全に私達に何か仕掛けないという保証はありません。ですので何かあれば対応出来るようにと護衛の形を取りたいと思ってあぁ言わせていただきました」
「っ、まだインゴベルト陛下達は大丈夫ではないとすずは見ているんですか・・・?」
「可能性は低いと思いますから用心を兼ねてです。それに陛下に公爵はよくても、他の方々がどういった反応をするか分からない以上はこれが妥当だと思います」
「他の方々、ですか・・・話を聞けば分かってくれると思いたいですけど、事実を知ったら結果としてどういった反応を起こすかまだ分からない・・・そうすずは考えているんですね」
「そういうことです」
その質問は何故自分達も行くと言ったのかとの物だが、すずの用心深い考えからの物だったと分かる返答に概ね納得と言った様子にイオンは変わる。
「まぁ今の状況が状況だ、向こうの誰かが何かを起こす可能性についてを過度に心配する必要はないと見ていい。向こうもマルクトが関わってくるとあれば、迂闊に手出しをしてくるとは思えんからな」
「そうですか・・・そういうことなら分かりました、僕もその場に行こうかと思っていましたがそれなら安心です」
続けてリオンが何か起きる可能性は相当に低いと強調した事で、イオンもようやく安堵して自分は行かないと返す。
「人選に関してはそちらにお任せしますよ。イオン様はともかく私が行くと面倒ですから私は行けないというか行きませんけどね」
「分かりました・・・では皆さん、少し集まりましょう」
そしてジェイドが人選を任せると言えば、すずが頷いた後にアドリビトムの面々は部屋の奥の方へと移動する。
「・・・さて、後は陛下達の準備が済むのを待つだけですか・・・」
「この様子なら説得がうまくいけば明日とは言わずとも、数日中には会談は実現するでしょう・・・まぁ余計なトラブルさえなければという所ですが、それも今なら然程心配はなさそうですがね」
「余計なトラブル・・・?」
「・・・この際ですから正直にお答えしますが、ルークとアッシュの事です」
「「「「っ・・・!」」」」
それでイオンがホッとした様子を見せるがジェイドの意味深な言葉に疑問を向けると、珍しく正直に自分の考えを明かした答えにアドリビトムの面々以外の空気が一気に張り詰めた物になる・・・ルークとアッシュの二人が喧嘩をしてないことの方が有り得ないというのを、今更ここで何故明かしたのかと言わんばかりに。



(なんでいきなりそんなことを言うんですか、大佐!?確かに私も気にはなっていたけど、そこを聞いたらアッシュがまずいと思ったから何も言わなかったのに・・・!)
・・・その中の一人であるティアは自身の考えも同じとしつつも、何故と心中で叫ぶ。面倒な事以外にならないとそう感じながら。










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