望まぬ道と言うが望む道とは何か

「改めまして初めまして、ピオニー陛下。私がクリムゾン=ヘアツォーク=フォン=ファブレです」
「あぁ、初めましてファブレ公爵。だがインゴベルト陛下が待っていることを考えればそちらはそうそう長居も出来んだろう。だから簡潔にこちらの考えを述べさせてもらうが、マルクトは本気で和平を成したいと思っている。その上でキムラスカがもし和平に応じたいと考えているというなら、この後でバチカルに戻った後にインゴベルト陛下に話をしてほしい。このダイクロフトで和平の会談を行うことについてを」
「・・・それは構いませんが、いつに我々がタイムリミットを置くのかという設定は必要ないのでしょうか?」
「早ければ早いほどこちらとしてもだしそちらも都合がいいだろうが、なんだったら明日にでも会談を行いたいのがこちらの気持ちだ・・・ここの住民の調査によってタタル渓谷にザオ遺跡のパッセージリングは崩壊を免れ、他のリングと切り離す形で何とか魔界に降ろすことは出来たがその地域に住む住人達がいつまで持つかの目算がつかんのでな。それでここの住民の話では障気や外殻大地について対策があるとのことだが、キムラスカの協力がなければそれも順調に進ませる事が出来ないからな」
「だから早ければ早いほどいいというわけですか・・・そしてそれは我々の決断次第、だと・・・」
そのまま挨拶を改めてと切り出す公爵だが、それは程々にと早速と本題に入るピオニーが事の重要性は決断の早さにあると言うと、複雑そうな表情に変わる。
「そういうことだが、明日にでも会談を行いたい気持ちは単なる比喩ではなく実際にそうする事も視野に入れることをバチカルに持ち帰ってほしい。一応このダイクロフト経由ならバチカルからグランコクマまで一瞬で着くことは着くが、俺にも予定と言うものがあるし何よりさっき言ったような抜き差しならない事態を未然に防ぐには素早い対応が必要になる・・・そちらがバチカルに戻りインゴベルト陛下を始めとした重臣一同がどのような結論を出すかは分からないが、出来る限りは貴方にそう説得してもらいたい」
「・・・分かりました。ただ我々が戻った後にどう決まった事をお伝えすればいいのか・・・」
「その辺りはそちらにルーク達が行くだろうから問題はないだろうが、いいか?」
「・・・はい、それは構いません」
ピオニーはその表情に構わず急ぐことについて言い、公爵が頷きつつもどうすればいいのかを聞きルーク達がやるだろうと聞けば少し表情を陰らせながらも頷く。
「・・・分かりました。では我々はバチカルに戻り、インゴベルト陛下に話をして参ります」
「あぁ、頼む」
公爵も若干複雑と顔を歪めた後に頷き、ピオニーもまた皇帝として頷き返す。アッシュとナタリアもまた何とも言い難そうな表情をしていたことに気付く者はそう気付く中で。









・・・その後、一応場所がダイクロフトという事に間違いはないと示すために中を案内した後に公爵達と共にルーク達はダイクロフトから降りた。
その後にバチカルまで戻り、謁見の間に来たルーク達は一連の流れについてを公爵達とインゴベルトへと共に説明する。



「・・・ダイクロフトにて、会談をか・・・それも明日にでもやれるなら明日に、か・・・」
「恐れながら申し上げますが、ピオニー陛下は会談をすることを心から望まれている様子です。ただ時間に余裕があまりないことから急いでおられる様子でしたが、それはこちらも同じ・・・いえ、情報がマルクトより少ない以上こちらの方が不利と言えます」
「その状況の打破の為にも、明日にとは言わずとも早い内に会談をする事は必要になる・・・ということか・・・」
「はい、少なくとも私はそう思います」
それでインゴベルトは話を受けて苦渋の表情を浮かべ、公爵も複雑そうながらも後押しをするべく頷く。







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