望まぬ道と言うが望む道とは何か
(・・・どうしよう・・・この時が終わったらルーク達というか主にアッシュがどうなるかって話になるのは目に見えてるけど、今の状況じゃどうすれば正解なのか分からない・・・)
その光景を見てティアは頭を悩ませ、内心で弱った声を上げる。何をしていいか分からないと。
・・・ティアが何をしていいか分からないのは当然の事と言えた。ルークの事が第一でアッシュ達の事も以前以上のより良い状態にした上で事態を解決したいという気持ちを今も抱いているのだが、そこにはどうしたいかという明確なビジョンがない。
ルークで言うなら例え自分がどうなろうとキムラスカにアッシュを戻すのが最優先、というビジョンがあった。自身の犠牲を覚悟の上で、アッシュが拒否をしようとも偽りない本音としてはキムラスカに戻りたいという気持ちを持っていると感じたからこそ。
しかしティアにはそう言った最終的にどうしたいかという明確なビジョンはない。あるのは精々皆が前以上に仲間としてうまくやれればいいという具体性のない気持ちだけだ。
そんな気持ちだけで目標とする状態の見えないティアが、今の複雑に絡み合う感情をほぐした上で皆で仲良くしましょうなんて言える筈もない。そう出来るだけの手腕がないこともだが、自身のキャラではないと言うことを考えてだ。
・・・実質ティアは役に立てないし、立てるはずもない。本人は否定するだろうがそうなることが人知れず確定したも同然の状況の中で待っていたルーク達は、城から来た兵士がインゴベルトが会うと言ってきた為そちらへと向かう。
「・・・よく戻ってきた、と言うべきなのか・・・成程、クリムゾンの言う通りだ。ルークとアッシュ、そなたら二人は服装を除けば瓜二つ・・・最初に話を聞いた時は思わず耳を疑ったが、そのような姿を見せられては嘘と一蹴する事も出来んな・・・」
「「「「・・・」」」」
・・・そして緊張をしながら入った謁見の間なのだが、公爵を横につけて玉座に座るインゴベルトの表情は話し掛けてきた中身同様に複雑であった。その事にルーク達一同も余計な口を挟めずに黙っている。
「・・・さて、こちらとしてはまだ色々と聞きたいことはあるが・・・そなたらがこのバチカルに来たのは、マルクトとの和平の為なのだろう」
「あっ、は、はい・・・それもそうなのですが・・・えっと、どう言えばよろしいのでしょうか・・・」
「ナタリア殿下、説明は私にお任せください。殿下の立場では説明しにくい事も多々あるかと思われますので」
「はい・・・ではお願いします」
ただ王としての立場があると気を取り直し話を進め出すインゴベルトにナタリアが動揺しながら対応しようとするが、ヒューバートが丁寧な口調で申し出てきた事にすんなりと後を譲る。
・・・そこからヒューバートは自分達の事も合わせ、様々な事を説明した。無論、モースを始めとした知られては一触即発になりかねない事柄については伏せる形でだ。
「・・・ダイクロフトで和平、か・・・話に聞くだけでは本当にそのような事は信じられぬが・・・」
「こちらにおられるナタリア殿下を始めとした皆様が証人という形になりますが、言葉だけで信じることが出来ないというお気持ちは理解出来ます・・・ですのでそちらから代表を何人か出していただければ、後でダイクロフトまで案内させていただきます。ただ過度に人員を多くすることはお止めください・・・我々はキムラスカと事を荒立てるつもりも害意もありませんが、かといって攻撃を仕掛けられて黙っていられるほど安穏とするつもりもありません」
「うむ、それは分かっている・・・話が本当ならそなたらも慎重を期した上でこちらに来ているのだろうからな。余計な人員は向かわせぬようにはしよう」
「ありがとうございます、陛下」
それで話が終わりダイクロフトでの会談の前に視察を提案するヒューバートが注意事項を口にすると、インゴベルトも一応まだ確定したわけではないとは言いつつ理解はして行動すると返す。
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その光景を見てティアは頭を悩ませ、内心で弱った声を上げる。何をしていいか分からないと。
・・・ティアが何をしていいか分からないのは当然の事と言えた。ルークの事が第一でアッシュ達の事も以前以上のより良い状態にした上で事態を解決したいという気持ちを今も抱いているのだが、そこにはどうしたいかという明確なビジョンがない。
ルークで言うなら例え自分がどうなろうとキムラスカにアッシュを戻すのが最優先、というビジョンがあった。自身の犠牲を覚悟の上で、アッシュが拒否をしようとも偽りない本音としてはキムラスカに戻りたいという気持ちを持っていると感じたからこそ。
しかしティアにはそう言った最終的にどうしたいかという明確なビジョンはない。あるのは精々皆が前以上に仲間としてうまくやれればいいという具体性のない気持ちだけだ。
そんな気持ちだけで目標とする状態の見えないティアが、今の複雑に絡み合う感情をほぐした上で皆で仲良くしましょうなんて言える筈もない。そう出来るだけの手腕がないこともだが、自身のキャラではないと言うことを考えてだ。
・・・実質ティアは役に立てないし、立てるはずもない。本人は否定するだろうがそうなることが人知れず確定したも同然の状況の中で待っていたルーク達は、城から来た兵士がインゴベルトが会うと言ってきた為そちらへと向かう。
「・・・よく戻ってきた、と言うべきなのか・・・成程、クリムゾンの言う通りだ。ルークとアッシュ、そなたら二人は服装を除けば瓜二つ・・・最初に話を聞いた時は思わず耳を疑ったが、そのような姿を見せられては嘘と一蹴する事も出来んな・・・」
「「「「・・・」」」」
・・・そして緊張をしながら入った謁見の間なのだが、公爵を横につけて玉座に座るインゴベルトの表情は話し掛けてきた中身同様に複雑であった。その事にルーク達一同も余計な口を挟めずに黙っている。
「・・・さて、こちらとしてはまだ色々と聞きたいことはあるが・・・そなたらがこのバチカルに来たのは、マルクトとの和平の為なのだろう」
「あっ、は、はい・・・それもそうなのですが・・・えっと、どう言えばよろしいのでしょうか・・・」
「ナタリア殿下、説明は私にお任せください。殿下の立場では説明しにくい事も多々あるかと思われますので」
「はい・・・ではお願いします」
ただ王としての立場があると気を取り直し話を進め出すインゴベルトにナタリアが動揺しながら対応しようとするが、ヒューバートが丁寧な口調で申し出てきた事にすんなりと後を譲る。
・・・そこからヒューバートは自分達の事も合わせ、様々な事を説明した。無論、モースを始めとした知られては一触即発になりかねない事柄については伏せる形でだ。
「・・・ダイクロフトで和平、か・・・話に聞くだけでは本当にそのような事は信じられぬが・・・」
「こちらにおられるナタリア殿下を始めとした皆様が証人という形になりますが、言葉だけで信じることが出来ないというお気持ちは理解出来ます・・・ですのでそちらから代表を何人か出していただければ、後でダイクロフトまで案内させていただきます。ただ過度に人員を多くすることはお止めください・・・我々はキムラスカと事を荒立てるつもりも害意もありませんが、かといって攻撃を仕掛けられて黙っていられるほど安穏とするつもりもありません」
「うむ、それは分かっている・・・話が本当ならそなたらも慎重を期した上でこちらに来ているのだろうからな。余計な人員は向かわせぬようにはしよう」
「ありがとうございます、陛下」
それで話が終わりダイクロフトでの会談の前に視察を提案するヒューバートが注意事項を口にすると、インゴベルトも一応まだ確定したわけではないとは言いつつ理解はして行動すると返す。
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