望まぬ道と言うが望む道とは何か

「・・・お待たせしました、これでバチカル近辺に装置の設置が完了しました。ですが流石にピオニー陛下に直にバチカルに降りていただくのは色々な意味で危険となるので、少し離れた所に装置は設置させていただきました」
「そうか・・・まぁ俺の顔を知ってる人物がいるとは思えんが、それでも安全の事を考えれば致し方ないというところか」
「ご理解していただいたなら何よりです。では早速下に降りましょう」
そこにタイミングよくヒューバートが入ってきて装置の位置についての説明に納得したピオニーの声に納得した後、下に行くとの声に一同は装置の方へと向かう。



「・・・あれはっ・・・確かに、バチカルですわ・・・クレーターのある土地に建つ、あの街並みに城の姿は・・・!」
「・・・ナタリア殿下がそう言うって事は、本当の事だって事か・・・」
「これで信じてもらえましたか、僕達の言っていた事が嘘ではないということは?」
「あぁ、十分にな」
・・・そして装置を用いて下に降りた一同の中でナタリアが遠目に見える距離ながらもバチカルだと驚きながら認識したことで、クレスの問いかけに事実と認めると頷く。
「だがそうとなれば、これからどう動くか・・・流石に俺が直接バチカル内に向かってと言うのは危険だろう。敵の本拠地に皇帝自らが向かうはずがないという考えが向こうに芽生えるとしてもだ」
「えぇ。ですから陛下はダイクロフトにて我々が戻るのをお待ちください。流石にインゴベルト陛下をお連れする事は出来ずとも、ファブレ公爵かそこに近い地位にいる方は今の状況でしたらお連れする事は出来るでしょう。向こうからすれば良くも悪くも状況を打破出来るきっかけになることもありますが、二人の『ルーク』という存在を直に目の当たりにすれば嫌でも考えざるを得ない状況になるでしょうから」
「「っ・・・」」
「・・・そうか。じゃあ後は頼む。遠目とは言えここに俺達が居すぎるとあまり良くないだろうしな」
「分かりました、では行ってまいります」
そこからピオニーがどうするべきかと思案するように声を漏らすと、ヒューバートが打開案を出して納得出来た物だった為に頷き後を託すが・・・ルークとアッシュが『二人のルーク』と言われた瞬間にピクリと反応したことを、場にいた全員が感じ取った。だがそこには誰も触れることなく、ヒューバートに続き一同はバチカルの方へと向かっていく・・・









・・・それで一同はバチカルに何事もなく入っていき、天空客車で上の階層に辿り着くのだがそこでふとナタリアが足を止める。
「・・・ここまで来て思いましたが静か、ですわね。戦争をするといった状況でしたから、もう少し何か起きてるのかと思ったのですが・・・」
「それは実際にマルクトと激突する前にカイツール近辺が魔界に落ちた影響が大きいからでしょうね。おそらく大々的に激突していたなら、今頃ここもピリピリしていたでしょう。インゴベルト陛下もそうですが、何よりモースの性格を考えればその辺りでの情報操作を怠ることはまずないでしょう」
「ということは、ぶつかっていたならこうなってはいなかったと?」
「私はそう思っていますが、だからこそ今の状況が生まれています。ここを逃すべきではないでしょうが、かといって城に直行するのもまだ危険と言えるでしょう。妥当な安全を求めるなら、ファブレ邸に向かい公爵にアポを取ってから向かうべきでしょうね」
「公爵、ですか・・・」
そこからバチカルがやけに静かである理由は何かと漏らすナタリアにジェイドが推測を返していくのだが、公爵という単語に気まずそうにルークとアッシュに視線を向ける。












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