激動の前の人々の心の動き

「・・・俺はそれでいいとは思うが、出来るなら証拠が見たい。本当にこのグランコクマからバチカルまで一瞬で行けるのかどうかに関してをな」
「あ・・・それは私も知りたいですわ・・・バチカルに長い間戻っていないと言うこともありますし・・・」
そして間を空けてから賛同するピオニーにナタリアもおずおずと同意を示す、何だかんだあってもバチカルに戻りたいという気持ちはあるために。
「・・・僕達の事を信じてもらう意味でもそれは構いませんが、今すぐダイクロフトに向かうのは陛下の予定もあると思いますから時間を取ってからにしてください。流石にその辺りを無視されたら他の人達もどうかと思うでしょうから」
「・・・俺としては今すぐでも構わないんだが、まぁ流石に急ぎすぎか。じゃあ早速話をするから、お前達は宮殿の外で待っていてくれ。出来る限りすぐにそっちに向かうようにする」
「分かりました・・・皆もそれでいいかな?」
クレスはそれでいいと言いつつもピオニーの予定について口にすると外で待機していてほしいと言ったことに頷きつつ、一同を見渡しながら同意を求める。と言っても一人以外に不満を露にするような様子は見えない。その一人とは・・・
「・・・フン、バチカルに行くのは構わねぇが俺はそこには行かねぇ。ここに残らせてもらうぞ」
「アッシュ・・・!?」
・・・そう、アッシュである。
一人行く気はないと言い出した事にナタリアが何故とばかりに目を大きくするが、アッシュから視線は向けられても会話まで話は続かない。
「色々言いたいことはあるだろうが、まずは外に出ようぜ。ここで言い争ってたってピオニー陛下が困るだけだしな」
「っ、そうですわね・・・分かりましたわ・・・」
「・・・フン・・・」
何故ならユーリが面倒そうながら外に出ることを提案した為で、二人もその声でその場での言い争いをしそうになるのを止め外へと歩き出す。
「・・・では陛下、また後で」
「あぁ、俺が来るまでの間にどうするのか話を進めておいてくれ・・・俺としては出来ることなら、アッシュにはキムラスカとの会談の場にいてほしいとだけは言っておく」
「・・・はい、では」
それでヒューバートが今度こそと退出をすると声をかけると、ピオニーが頷いてから自身の本音を口にした事を受け止めてから頭を下げルーク達と共に場を退出していく。



(ピオニー陛下がアッシュにその場にいてほしいっていう気持ちは俺としても賛成だ・・・アッシュからしたら父上達に会わせる顔がないとか、キムラスカに戻るつもりはないって思って言ったことだっていうのは分かってるけど・・・今度はそんなことにはさせない・・・例え大爆発が起きなくたって、アッシュにもっと嫌われる事になったって絶対に・・・!)
宮殿の外に一同が向かう中でルークは内心で意気込む。アッシュの事をキムラスカに戻すために動くことを強く・・・



(・・・どうしようかしら・・・アッシュには出来ることなら、どうにかルークと一緒にキムラスカに戻ってほしい所ではあるけれど・・・どうしたらいいかわからないわ・・・!)
一方でティアもまたアッシュについてここが分岐点と感じているのだが、ルークと違い困惑の感情を隠せずにいた。



・・・この理由に関しては今こういった風にアッシュが自分の意を通そうとしていると思っていなかった事があるからだが、それ以上にティアからして自分の予想を悪い意味で大きく裏切った事ばかりが起こり、元々少なかった心のゆとりを更に失わせていたからだ。故にアッシュの事などこうしてほしいという気持ちは浮かんでも、具体的な実行案については何も浮かんではこない・・・とはいってもそれはほぼ最初からであるという事は本人は考えてもいないことなので、誰かが指摘することもない為に改善されることはないだろう。今までも、そしてこれからも。















二つの関係は静かに終息を迎えた



そして新たに関係は変わっていく



揺れゆく心の行く先はいかに・・・



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