「・・・確かにクレスの話を聞くと、ナタリアがバチカルに行くと通そうとしていた可能性は非常に高かったでしょうね。そして当時の様子を思い返して彼らが装置を用いてバチカルに行くことを拒否していたなら、そう出来るのに何故しないのかと憤慨した上で装置を用いないならもう自分だけでも行くと言いかねなかったと私は思います」
「ジ、ジェイド・・・貴方は私がそうすると思っていたと言うのですか・・・？」
「今思えば、と言うことですよ。その時は私も事実を知ってはいませんので想像でしかありませんが、少なくとも私は貴女を止めることに皆さんが四苦八苦し続ける事になっただろうとの推測は出来ます。そして状況次第では苛立ちから制止を聞かず、単独でバチカルに向かっていた可能性もあったと・・・ですから彼らが事実を言わなかったのは妥当と言えば妥当だと私は思います」
「っ・・・！」
続けてジェイドもその中身に納得する中でナタリアは反論したげに声を上げるが、続いた予測に悔しげに歯を噛み睨み付ける。そんなことはない、そう否定したいのに出来ない・・・ナタリアも少なからずジェイドの言ったことが有り得ると感じた為に。
「・・・まぁ殿下からして不本意ではあるだろうがこの様子を見て、一層言わないという考えが正しかっただろうことは証明されたと俺は思った。ただそこについてはもう議論はなしにするぞ。結果として今の状況にまでこぎ着けることが出来たんだからな」
「・・・はい・・・」
そこにピオニーがフォローという訳ではなく話を納めようとしたことに、ナタリアも不本意そうながらも頷く。
（あぁ・・・ナタリアも分かったんだろうな、これ以上色々言ったって自分はそんなことないとか否定出来るような物じゃないって事が・・・）
そんな光景にルークはナタリアの内心の内を推測する。言い訳は通じるような状況じゃないと苦いながらも理解したのだと。
「・・・では話を戻すが、ダイクロフトを経由すれば一瞬でバチカルまで行くことは可能だと言うんだな？」
「はい、そうなります。そしてこれは僕が勝手に思うことなんですが、会談の場所についてはダイクロフトでいいのではないかと思うんです」
「ダイクロフトでか？」
それでピオニーはナタリアから話を戻すのだが、可能と言われたことに加え場所をダイクロフトにとクレスから言われて訳を聞こうと前のめりの姿勢になる。
「はい・・・中立の場所についてはどこにするかは難しいのはさっきの話で出てきたんですけど、一応ダイクロフトと言うか僕達は両国とは違う立場で動いています。色々と陛下達には協力はしていますが、その考えについては揺るいではいません」
「・・・確かに少し勘違いしそうになっていたが、元々の目的を思えばそうだったな。お前達の目的は預言を達成させないことで、こちらの目的は戦争にさせたくないということ・・・目的が近いという事からお前達は協力してくれてはいるが、預言に詠まれた立場がキムラスカと逆ならお前達は向こうに協力していたかとだろう。しかしだからこそお前達は中立の立場であると言える訳か」
「はい・・・だからダイクロフトという場所がいいのではと思ったんです。うまく行けば当日は無理でも、数日中にはダイクロフト内でピオニー陛下とインゴベルト陛下に直接会ってもらう形で会談も出来ると思いますから」
「直接、か・・・」
その姿にクレスは真剣に自分達の立場を強調した上で両陛下の会談が出来ると言い、ピオニーはアゴに手を当てて考え込む。その案は悪いものではないと感じる形で。











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