戦場に際し開き、詰まる距離

「・・・なぁ、なんでこんなとこに隠れてるんだよ俺ら?」
「このタルタロスには相当数の神託の盾が襲い掛かっています。この状況では下手に外に出ても神託の盾が追い掛けて来るばかりです」
「それで急遽予定変更でしばらく隠れてもらって私らでタルタロスをどうにかした後、脱出するって算段って訳さ」
「・・・ふ~ん・・・」
(考えてんだな、すずにしいなも・・・)
人に聞かれないようにと辺りに気を使うよう声を抑えて訳を問うルークに、すずは淡々と・・・しいなは笑顔で答え、裏表共にニュアンスは違えど納得する。
「ですのでしばらくルークさんは皆さんとお待ちください。私達がタルタロスを止めてから脱出したいと思いますので」
「・・・って、お前ら二人でそんなこと出来んのか?神託の盾がいるってんだろ?お前らの話だと」
「心配はいらないよ。これでも隠密行動は得意だからね。それに私らもいくらなんでも外の神託の盾を相手にしたいなんて思わないから、事を済ませたらすぐ戻ってくるさ」
「と言うわけです。ただ時間をかければかけるほど脱出が困難になってくると思われますので、もう私達は行かせていただきます。では」
「あ・・・あぁ、行っちまったな・・・」
それですずが行くと言い出しあくまで何も知らない体を取るルークは出来るのかと聞くと、しいなも一緒に大丈夫だと言った後に二人はルークの声を背にさっさと部屋を後にしていく。
「・・・あーっ、ったく・・・こんな狭い所でどうしろっつーんだよ・・・待つしかないのは分かってんだけどな・・・」
「だったらしばらくお話でもどうかしら?二人が戻ってくるまで時間はあると思うからお互いの事を知るためにも・・・ね」
「・・・何言ってんだっつーの。静かにしてなきゃ神託の盾に見つかるかもしれねぇんだろ。だったらめんどくせぇけど見つかるくらいなら黙ってさっきの二人を待つっつーの」
「そう、残念ね」
(あ~・・・まぁ今の俺ならこれくらいが妥当だな。それにジュディス達とずっと顔を合わせてなきゃいけない状況で話をすんのは正直辛いんだよな。やっぱ前のことがあるし・・・)
二人がいなくなってルークが不満げに声を上げるとジュディスが意味深な笑みを浮かべて話をと切り出すが、状況があるから我慢すると不満を滲ませながらも言えばジュディスはあっさりと引いて納得する。だがルークの心中にはやはりアドリビトムの面々への申し訳なさと言うものが存在していた。
「・・・あの、質問いいですか?ルークさん」
「あ?なんだよ、えーっと・・・」
「アニーです、いいですか?」
「あぁ、アニーな。んで何だよ?黙っとかなきゃいけないってのに」
そんな時におずおずと手を上げて問いをと言い出す・・・アニーに、ルークはおざなりな態度で返す。
「あの・・・失礼ですが、ティアさんとはあまり仲が良くないように思ったのですがどうしたんですか?何かさっきのやり取りを見て少しそう思ったんですが・・・」
「は?・・・いや、別に知らねぇっつーの。俺から何かしたわけでもねぇのに勝手に向こうが機嫌が悪くなってって、それで俺やお前らの言うことに勝手に怒ってんだからどうしたも何もねーよ。むしろ何がどうなってあんなに怒ってるのか俺が知りてぇくらいだっつーの・・・」
「そうですか・・・」
それでアニーから出てきたのはティアの態度についてだが、ルーク自身疑問で謎に思っていたことなだけに演技の上とは言え確かな本音を頭をかきながら参ったように告げる。アニーもその答えに重く納得し周りと目を合わせるが、ルークは目を閉じて少し考えに集中する。
(アニーの言うことも分かるんだよな・・・ある程度前のように行きたいって思いはあるけど、あのティアと今の俺がこれからうまくいくとは思えないし・・・例え本音を出すようになったとしても・・・前のようにって考えは無しにしようかな、少なくともティアに関しては・・・多分前にこだわればこだわるほど泥沼にはまっていくだろうから、もう嫌われてもいいくらいに思って距離を取るようにしよう)
その考えとはティアに対する考えなのだが、拭いきれないマイナスのイメージに対しての対応に考えが行っていた。それもティアという存在に対する一種の諦めに似た考えに・・・















・・・乾くほどに求めていたルークの心が離れつつある。自分の態度が原因でそうなっていることを知らないティアは、ジェイド達にクレス達と共に・・・タルタロスの外にいた。







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