激動の前の人々の心の動き

(そんな・・・ルークがあぁまで言うなんて・・・今の私じゃガイを説得出来ない・・・アッシュには期待出来ないから、この場でガイを説得出来そうなのはナタリアだけ・・・!)
だが一人その光景に納得出来ないティアはすぐにナタリアに頼もうと考える、自身で力不足と感じたからこそ他人に頼ろうとあがく形で。
「ナタリア、貴女はそれでいいの!?このままだとガイはもう会えなくなるかもしれないのよ!」
「・・・確かにそうかもしれませんが、彼が決めたことですし私がそれを決めることは出来ませんわ・・・」
「っ!・・・そん、な・・・」
すぐにティアはナタリアに対して情に訴えかけるような声を向けるが、極めて複雑に表情を歪めながら目を背け首を横に振る姿に絶望したかのように顔色を悪くする。希望が断たれたとばかりに。
「・・・ティア、一ついいか?」
「っ!は、はい陛下・・・何でしょうか・・・?」
「ナタリアに意見を今求めたが、お前はどう考えているんだ?ガイの判断についてを」
「え・・・?」
「お前がどう思っているかもそうだが、ガイにどうしてほしいかを俺は聞いてるんだ。正直に答えてほしいんだが、どうだ?」
「それは・・・」
そこに続いて口を開いたのはピオニーでティアは慌てながら対応するが、質問について詳しい答えを求められ考え込むように視線を反らす。
「・・・私はガイの気持ちは分からないでもないとは思ってはいます。ですがそれでも私としてはアニスもですが、二人に付いてきてほしいと考えています」
「成程・・・だがそれで諦めがつかなかったから、ナタリアに協力を求めたといった所か。自分だけの言葉で説得出来ないだろうから、せめてそこからどうにか出来ないかと考えてな」
(っ!・・・読まれてる、私の考えが・・・)
そして観念したように自分の気持ちを白状するティアだが、ピオニーの予測の声が当たっていた事にビクリと体を震わせる。
「・・・味方を増やそうとする行為自体は悪いことだとは思わんが、肝心のお前達の気持ちはどうだ?」
「・・・すみません、陛下。そう言われても私は無理です、皆と一緒に行くことは・・・」
「・・・俺も、同じです。どういった行動を取るか自分でも分からないくらいの状態なんです、今の俺の精神の状態は・・・」
(っ・・・アニスはまだともかくとしても、ガイはそこまでの状況だというの・・・!?・・・もしキムラスカとの会合で、ガイが公爵の事を殺すような事になってしまえばもう本当に取り返しがつかないとかそういう事ですらなくなってしまう・・・!)
若干の呆れを含ませながらも二人に話題を向けるピオニーに答えを返すが、特に影を深く落とすガイの返答にティアも流石に危機感が心を支配した。今のガイは大袈裟でも何でもなく不安定な状況にあると理解した為に。
「・・・まぁそういうわけだそうだ。それで改めて聞くが、これでも尚お前は二人に付いてきてほしいと願うか?当人達が行きたくないとそう言っている状態の中で無理強いをしてでもだ」
「・・・・・・それは・・・・・・付いてきてほしいです、けど・・・・・・そこまで言われたら、もう・・・来てくれなんて、言えません・・・」
「そうか・・・念の為に他の奴らにも聞くが、それでも二人に来いと言いたい奴はいるか?」
「「「「・・・」」」」
「・・・よし、いないようだな」
(・・・これで、決定してしまった・・・もう二人が私達に付いてこない未来が・・・)
それでピオニーからの再度の問い掛けに非常に不本意そうに間を使いながら首を横に振ったティアだが、続いた周りへの同じような意見を求める声に誰も続かなかった事にとうとう理解した。二人とはもう、以前のような旅は出来ない瞬間が訪れてしまったのだと・・・








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