「・・・よく集まってくれた、導師達」
「いえ・・・それより今日はどのようなご用なのでしょうか、陛下？」
「目的は複数あるが、まずは一つ・・・こっちにいるガイとアニスの事についてだ」
「「「「っ」」」」
ピオニーが早速と歓迎といった声を向ける中イオンが用向きを問うと、脇に控える形で並んでいたガイとアニスの二人の事を切り出したことに何人かの面々がそっと息を呑む。
「と言ってもそう難しい話じゃない・・・二人は事が落ち着くまではこちらで保護という扱いになり、ガイに関してはキムラスカとの停戦が成功してからになるがその後ファブレ公爵と連絡を取ってこちらで引き取るという形を取ることにした。これは二人と話した上で決めたことになる」
だがすぐにピオニーから述べられた結論に一人を除いた空気が一気に和らいだ。どちらも来ないという事実に。



（ガイッ・・・アニス・・・！）
・・・そしてもう一人が誰か、と言えば勿論ティアである。
二人が出した結論に対して一人反論を申し出たそうにグッと歯を噛み、拳を握る・・・だがそこまで憤っているのに何故不満を申し出ないのかと言えば、やはりガイ達を説得出来る材料が一つたりとてないからだ。特にガイが行動を起こした場合、どう取り繕った所でティアでは何も出来ないと自身で強く感じている為に。



（・・・こうするって選んだのは俺の責任の一端でもある・・・けどそれをガイに明かすことも出来ないし、何も知らないといったように振る舞って・・・俺が引導を渡すしかないんだ・・・）
そんな一方で、ルークは知りつつガイを引き剥がす事を選ぶことに内心が一気に重くなるのを感じながら口を開く。
「・・・ファブレから出るのか・・・ガイ・・・」
「・・・済まない、ルーク・・・だがもう俺は、ファブレに戻れない・・・戻るべきじゃないんだよ・・・」
「ガイ・・・」
（・・・戻るべきじゃない、か・・・ユーリ達の言ったことが相当効いたって感じか・・・アッシュは舌打ちしたそうな顔は相変わらずだけど、ナタリアはたまらず声を漏らしたな・・・やっぱり辛いよな、ナタリアからしたら・・・）
いかにも何も知らず、複雑極まりないといった様子のルークの探るような声に答えるガイに反応したのはナタリアで、ルークは苦い想いを感じながらも更に表向きの態度のまま言葉を紡ぐ。
「・・・だったら、俺からはこれ以上何も言えるような事はねぇ・・・お前が悩んで選択した事だから、俺がお前を批判することは出来ねぇよ」
「・・・ルーク・・・」
「・・・じゃあな、ガイ。多分これから先どうなるか分からないけど、俺とお前が会うことはそんなにないと思う・・・だから俺はせめて、お前がこれから何事もなく無事にいられることくらいは願っておくからよ・・・」
「済まない・・・済まない、ルーク・・・」
そのまま口にしたルークの本心から名残惜しいと言った別れの言葉に、ガイは辛そうに目を伏せながら謝罪の言葉を重ねて漏らす。本当に名残惜しいといった様子で。
（・・・済まない、のは俺の方だよガイ・・・隠してることは知ってて、それで俺からはお前の事を言えない・・・言ったらガイがどうなるか分からないからって言っても・・・本当に、ゴメン・・・そして、サヨナラ・・・ガイ・・・）
そんなガイに対する想いを内心だけで必死に抑えながら、ルークは別れを告げる。このような形で別れねばならない事に、自身が秘密にしていることは何も言えない事への辛さを確かに感じながら。










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