「エステル。残酷なように思うだろうけれど、ガイの事をこれ以上どうにかしようと思うのはやめなさい・・・彼の本意を叶えようとするなら必然的に公爵の命の危機に繋がるし、かといって彼が納得いくまで時間を取らせてあげるほどの時間はないしいつにそれが訪れるかも分からない。そういった事もあるから私達はガイに対してあぁすると決めたの。それがガイにとって不本意でも世界そのものの行く末を左右しかねないまさかの事態を防ぐ為にもね」
「ジュディス・・・」
そのままガイで悩むのは止めるように言うジュディスに、エステルは複雑そうに表情を歪める・・・個人の感情という小より世界の安寧という大を取ったその判断は間違いではないとエステル自身感じていて、そして時間がないというのも事実な為に。
「ま、そっから先はその状況が不満だってんならガイが決める事だ。ユーリ達は今の状況でも復讐をしようとしたならこうなるって可能性を示した・・・それで尚復讐をしようってんなら、もうガイを引き止めんのは言葉じゃ無理だ。そしてガイがガルディオスに戻りたいって言い出すかに戻れるかどうかは周りの考えもあるだろうが、ガイの気持ちに態度次第・・・俺達が決めることでも勧める事でもねぇよ。ま、ファブレに戻さないように画策した俺達に言われたくないって事実を知ったなら、ガイは言うだろうけどな」
「スパーダ・・・」
それでスパーダが今までの流れをまとめるように発言をした上で愉快そうに笑う姿に、エステルはまた一層複雑そうに表情を歪める。スパーダの割り切り方を受け入れきれないという一方で、そう出来た方がいいという思いもあるが為に。
「・・・話も終わったようだし、そろそろ下に戻らないかしら？ガイが私達と一緒にまた来る可能性が低いのは話から大体理解は出来たけど、だからと言ってティアがガイの説得を諦めた訳じゃないでしょう？」
「・・・そうだな、あの様子ではガイの説得についてをうまくやれるとは思えんがそろそろ戻った方がいいだろう。ではそちらから何もなければ戻ろうと思うが・・・何かあるか？」
そして話が終わったと見てか、その空気を変えようとしてか・・・ヒルダが戻ることを提案してきた事にウィルも頷き、ダイクロフト残留組に話を振る。しかし誰も何かあると言ったような様子ではない、エステルみたいにまだ受け入れきれてないという空気はあってもだ。
「・・・じゃあ戻るぞ。後、予想通りならこのダイクロフトと言うかアレを使わねばならん時が来る。一応その準備はしておいてくれ」
「分かりました、ウィルさん」
その様子に戻ると言い出すと共にウィルは準備をと言い、ジェイが頷く。アレと呼ばれる物の用意の為に・・・


















・・・それで再びグランコクマに戻ってきたアドリビトムの面々は表向き、穏やかな時間を過ごした。表向き、と言った理由はティアの様子がおかしいことにあった。と言っても何かに思い悩むといった様子を隠せずにいることから、大方ガイの事で四苦八苦しているのだろうという予想が簡単に想像が出来た。

ただそれでもティアは実際に行動を起こそうとはしない。失敗を恐れるが故に・・・そんな姿にミントなどはまだどこか辛そうにはしていたが、大半の面々からしてみれば最早もう関心すら起きることはなかった。いい方向に変われないのかと、思われることもない形で。


















・・・そんな風に過ごしていた一同は、数日後謁見の間へと呼び出された。












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