「ガイさんは復讐をする事を悩む程にはルークさんに対しての気持ちがありました。その上でガイさんは自分がルークさんの兄のような存在だという自負を持っています。それも自分の方が身分という意味ではなく、精神的な意味で立場が上だと感じる形でです」
「精神的な意味で、ですか？」
「はい・・・兄のような存在だからこそ見栄というか、みっともない姿を見せたくない。ガイさんからはそう言った気持ちが伺えるんです」
「俺もアニーと同じような考えだ・・・ガイから感じるのは言っちまったら上に立つ人間として、兄のような存在としてルークに失望されるような事を見せたくないって気持ちだ」
「それは・・・見せたくないっていう気持ちは間違いじゃないんですか？」
「まぁそれ自体は間違っちゃいねぇとは俺も思う・・・けど、ガイが復讐を選ぶってなったらルークもその対象に入るんだぜ？」
「「「「っ！！」」」」
アニーが自分の考えを明かしていきスパーダもその話を受け継ぐ形で考えを述べていき、エステルの疑問の声に答えるのだがその中身に他の多数の面々も一気に息を呑む。復讐を選んだとしたならルークも犠牲になるとの事実に。
「ハッキリ言っちまえばガイの行動はいい格好をしたいだけで、間違いや非があったら他人に言い訳を求めてるだけなんだよ・・・ルークには嫌われたくはないけど、その当人のルークが自分の考えに沿わなかったらお前のせいだって言って見放す形でな。現に前アクゼリュスをルークが落とした時も自分の責任は一切ないって、振り返るような事もなかったらしいじゃねぇか・・・その時にヴァンのおっさんの裏の顔についてを少なからずは知っていたにも関わらず、全くその事を口にもしないって形でだ。そしてそこでアラミス湧水洞で待ってたからノーカンだなんて擁護する事も出来ねぇ・・・何せ自分は全く悪くないとばかりか、ルークの事を見捨てられなかったから救いに来たみたいな態度だってんだからな。そんなもんが自分の態度を改めて来た人間のもんだなんて、少なくとも俺は思えねぇ」
「・・・それは・・・」
「ま、今のはあくまで俺が個人的に感じた事だから無理に否定する事はねぇぞエステル。別にこういう考えになれっつってるわけじゃねぇからな」
「つっても俺もスパーダと同じような考えだがな」
「ユーリまで・・・！」
スパーダが長くも確かな自分の考えをまとめて述べる様子にエステルは複雑そうに表情を歪めるが、ユーリまでもが同意したことに何故といったような声を向ける。
「ま、この辺りは俺らの中でも見解の相違ってヤツが出てくるだろうな。ただルミナシアのガイならいざ知らず、こっちのガイに関しちゃ間違っちゃいないと思うぜ。俺は」
「そいつには私も同感さ・・・ガイの気持ちとか立場に全く同情出来ないって事はないけど、そいつを差し引いたってグダグダと引きずりすぎなんだよ。ましてや弟分と見ている存在のルークに復讐の結果を託し、それで駄目ならそれまでの関係全部まとめてルークもろともファブレを終わらせようなんて考えは許せるもんじゃない・・・私にとっちゃね・・・」
「っ・・・ナナリー・・・」
そのユーリが個人の見解の差についてを述べる中でナナリーが怒りもそうだがそれ以上にやるせなさを伴わせた感情を滲ませた様子を見せている事に、エステルもそうだが周りの面々も何とも言えない表情を浮かべる・・・勢いだけで否定を返すことが出来ない想いを他の皆も含め、確かに感じたが為に。









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