激動の前の人々の心の動き

「そう考えると、ガイさんからガルディオスであることを無理に吐き出させるようなことをすれば以前のようになるどころか、それこそヴァンさん達の元に行きかねない可能性も出てきます。一応ルークさんの話でそう言ったことをする可能性は低いだろうとは思いますが、復讐についてを追求されたならルークさんもですがアッシュさんにも何を思ってか破れかぶれで襲い掛かる可能性も出てきます・・・下手に追求する事は余計に危険に陥りかねませんので、少なくとも私はそこに触れることは勧められません」
「っ・・・そう、だな・・・そんなことが起きたら、俺はともかくアッシュもまずいよな・・・」
更にすずからガイの事をこれ以上突くことは止めておくべきと言われ、ルークはまた一層表情を曇らせる。自分だけでなくアッシュまでもが危険となれば、そんな危険を自分の為に犯せないと感じた為に。
「まぁ俺達のやったこともギリギリって所じゃあるが、それでもあのまま進んでもし俺達に付いてくるなんて展開になったらそれこそ抜き差しならない事態ってやつになりかねなかった。いつガイが爆発するか分からない状況が続くんじゃないかってな・・・だからお前もこうすることに賛成したんだろ、ルーク?」
「うん・・・ガイ自身の事もそうだけど、何よりティアがこれからどう言ってくるかが怖いしな・・・元々ガイ達の事を言ってきたのはティアだって話だし、それこそ無理矢理連れていくくらいの事は言いそうなんだよな・・・そうなったらどうなっても、まずい方に向かうとしか思えないし・・・」
更にユーリがお前も選択した事だろうと投げ掛けると、ルークはガイに対して以上の懸念を込めてティアの事を切り出し苦い顔を浮かべる・・・今までの経験からもうティアに対し、穏便でいて人の事を考えた態度を取ってはくれないだろうと確信していた為に。
「そうだろうね・・・けどガイはもう動くことを選べない。自分がガルディオスだってことを皆にバラされる事を避けるために」
「はい・・・ですがガイさんは復讐を果たしたとしたなら、その後はどうしようとしていたのでしょうか?和平の時にファブレ公爵を殺していたとしたなら例えナタリアさんにピオニー陛下達が擁護したとしてもガイさんが許されることはなかったと思いますが、それを覚悟しての行動だったとは話を聞いた時には思えませんでしたし・・・そうでない時にそうしたとしたなら、どうしていたのでしょうか・・・?」
「・・・マルクトに戻る事を選択していたのは間違いないと思う。ガイにとっての故郷はやっぱりマルクトと言うかホドだから、ファブレを滅ぼしたならキムラスカにいる理由もないしな・・・ただ、そこから先はガイの望む形でガルディオスに戻れるかどうかっていうのは正直微妙じゃあったと・・・俺は思う」
「どうしてですか、ルークさん?」
それでナナリーの後に疑問の声を漏らしたアニーに対し、ルークはガルディオスに関しては微妙だっただろうと複雑そうに言う。
「時期にもよるけど、少なくともこの旅が始まる前までにガイが復讐を果たしていたなら、モースは確実に戦意を焚き付ける為にマルクトがファブレを滅ぼしたんだって叔父上達に上奏するのは目に見えてる。その上でもしガイがガルディオスとしてマルクトに復帰したらピオニー陛下は本意じゃなくても、他の人達は復讐を果たしたガイを戦争の旗頭に置こうとする。ファブレを滅ぼしたガルディオスの遺児はシンボルとしてピッタリだってな・・・でもガイにそんな気は確実に起こらないと思う。ファブレへの復讐が大事なだけであって、キムラスカが憎い訳じゃない上に戦争を起こしたい訳じゃないんだからさ・・・だけどガイに断る術はない。そういうつもりじゃないなんていくら言った所で戦争で負ける事になったら、今度こそ貴方が亡くなるという展開も有り得るくらいは言われるだろうからさ」
「成程、逃げ場が無いと強調されてしまえばガイは拒否しようがなくなるというわけか。戦争の旗頭になることに関してをな」
「うん、あくまで俺の想像だけどな・・・」
そこから時期についてと仮定を置いてから話をしていくルークにリオンも納得するのだが、やはり想像は出来てもガイの暗い未来についてを話すことは気が重いとばかりに頷く。












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