激動の前の人々の心の動き

「貴方はガルディオスにガイを戻したのかもしれないけれど、今のガイは復讐の件も含めてどう考えているのかはハッキリとはしていないわ。こういう言い方をしてはなんだけど、今のガイは不安定で表面上何もしないと言いはしても後々に復讐をしようと決意する事も有り得ない話じゃない・・・彼からガルディオスに戻りたいだとかマルクトに残ると言った言葉を引き出せず、ガイ=セシルとしてバチカルに戻るとなったら尚更ね」
「それはっ!・・・いや、ジュディスの言う通りになる可能性も有り得るんだろうな・・・ガイの気持ちを変えることが出来なかったら、そんな結末・・・」
だがジュディスからもしもの可能性についてを聞かされ、ルークは否定を返せずに苦い顔を浮かべる・・・うまくいかせたつもりでも、ガイの心中を正確に把握出来ない以上は絶対に安心は出来ないのだと。
「貴方とリフィルの言葉がガイに全く効いてないわけではないどころか、十二分に効果があったのは承知しているわ。でも今の状態ではガイがどう転ぶのか、貴方もそうだし私達にも分からない・・・だからガイ次第と言ったの。私達も選択についてどうするかとは聞いては見るけれどこればかりはね」
「・・・そうか・・・そっちも予想がつかないんじゃ、どうしようもないか・・・」
その上で選択を求めるつもりと言うジュディスにルークも否応なしに納得してしまう。ガイの心中に渦巻くモノがどういう結論を導き出すのか分からないとの事に。
「そう・・・でもこちらとしてもそうだし貴方としてもまかり間違ってガイが復讐をするなんて選択をするという状況は避けたい・・・だからこそ、私達は動こうと思うの。それが例えガイにとって、不本意な結果になるだろうことでも・・・ね」
「っ・・・それは、一体どんなことをやるんだよジュディス・・・?」
だがそんなことにはさせないと決意を込めて言葉にするジュディスに、ルークは恐る恐ると先を促す。ガイにとっての先行きが不安な事を聞きたくないが、聞かねばならぬと気持ちを奮い立たせる形で。





















・・・ルークとジュディスの二人が内密で話をした後の夜になり、ガイに用意された部屋へと場面は移る。



「・・・どうしたんだ、一体・・・俺に何か用なのか・・・?」
ガイは戸惑いながらも目の前にいるすずにユーリの二人に、わざわざこの時間になっての用向きについてを問い掛ける。
「・・・率直にお伺いしますが、ガイさん。貴方はこれからどうするつもりですか?私達に付いてくるかどうかもそうですが、それらが無事に終わった後についてもです」
「無事に終わった後って・・・どういうことだ?」
「・・・この旅が無事に終わったとしたなら、ルークさんとアッシュさんの関係は複雑な物ですからそれを置いておいて考えてみても、貴方はキムラスカやファブレに対して揺るぎない忠誠を誓えると言えますか?一度向こうが見捨てたという事実を考えると、向こうが何もしてこないと限らない状況の上でです」
「そっ!?それ、は・・・」
すずはいつもの通りと言ったように淡々とした口調で話を進めていくのだが、ガイは対称的に動揺を隠せずに口ごもる・・・元々ガイはキムラスカもそうだがファブレに忠誠など誓っていないこともあるが、自分の命をかなぐり捨ててまで捨て身の行動に出るだけの気概がないだけに嘘でも戻るなどと言えない為に。









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