焔の決意と知りし者達

「ただ・・・多分もうここに戻ってくることはないだろうからさ。せめてここに俺が最後にいたってことを示すために少し時間をくれないか?多分見つけてくれる人はいないかもしれないけど、一応な」
『・・・いいだろう、わかった』
しかしと日記帳を取り出し最後にここにいたと示したいと言い出したルークに、ローレライもならとすんなり頷く。それでローレライから声がかからなくなった所でルークはペンも取り出し、日記帳のページにサラサラと文字を書き込んでいく。









「・・・よし、後は」
‘ビリッ’
・・・数分後、日記帳に書くことを書き終わったルークはそのページを破り取り近くの岩に置いた後腰の剣を引き抜く。そして長い髪をうなじ辺りで手に取り束ねた後、その剣で・・・
‘ザッ’
「・・・これでよしと」
髪を躊躇いなくまとめて切り、その髪の束をポケットから取り出したゴムで一纏めにしてそのページを挟むように岩に置く。
「・・・待たせたな、ローレライ」
『もういいのか?』
「あぁ、見付かりゃいいって程度に置いたからな。後は誰かがこれを見つけたならそれでよしで、見つからなくても・・・まぁ仕方ないって思うさ」
『そうか・・・では少し目を閉じておけ。そこに姿を現そう』
「あぁ」
そしてローレライに呼び掛けるとすぐに返事が返ってきて、ルークは微笑を浮かべて見つかったらいいと呟く。ローレライはその言葉にそれ以上何も言わず自分が来るからと目を閉じることを勧め、ルークはその勧めに従い目を閉じる。



‘カッ’
「うっ・・・っ!」
『・・・久しぶりだなルークよ。例えこちらでは初めてとは言え直に顔を合わせるのは』
「・・・あぁ、ローレライ」
数秒後、唐突な光を感じて目を閉じているにも関わらず顔を背けてしまうルーク。だが目の前からかかってきた声にルークは目を開けしっかりと応対した、ローレライと認識して。
『本来ならもう少し時間を取りたいところだが、早速そなたをオールドラントに送り届けよう。元々の我もオールドラントの我の介入がなければまともに表に出られる事にはならなかったのだが、それでも我が必要以上に地上にいれば厄介事になりかねないからな』
「あぁ・・・んじゃ頼む、ローレライ」
『あぁ・・・そなたの人生に今度こそ多幸があらんことを願う』
‘・・・カッ!’
それで早速と自分の身の上を明かし送ることを切り出すローレライに、ルークも覚悟を決めて頷く。そして幸福を願うように声をかけルークのその身を自身の体から出した光で包み・・・ローレライはルークの姿を消し去った。オールドラントに送ることで。
『・・・終わったな。では我も戻るか・・・っ、馬鹿な・・・そなたは・・・!』
一人場に残ったローレライは戻ると口にするが、ふと振り返った先にあった姿を見て言葉を失った・・・












・・・少し時間は進み、アドリビトムの本拠地でありメンバーの住まいでもある船のバンエルティア号。ここにかつてのラザリスを倒した時のメンバーに+幾人かのメンバーが集結していた。その訳とは・・・
「・・・ほとんどのメンバーは揃ったわね。それと各自が協力してくれると見込んで連れてこれると思った人達も・・・ご協力感謝します」
「いえ、兄の話を聞いてこちらも協力をした方がいいと思ったまでですから気にしないでください」
「いいえ、それでもありがたいわ・・・ルークを探すのに人手はいくらあっても足りないから」
ほとんどのメンバーが甲板に集まる中、アンジュの声にアスベルの弟であるヒューバートが眼鏡を押さえながら冷静に答える。その返答でもありがたいとアンジュは言う、真剣な面持ちで・・・そう、このアドリビトムメンバーに+αの人物達が再び集まったのはライマからいなくなったルークの身を案じての事だった。









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