心は揺れ動く、良くも悪くも

「まぁそういうことならいいけど、そろそろ戻る?ルーク」
「まぁ別に戻ろうかと思ってた所なんだけど・・・そう言えばジーニアス、いたのか?何回かダイクロフトに来てるけど、その時ジーニアスの姿を見たことなかったんだけど・・・」
「あ・・・そう言えばそうだったね」
それでジーニアスは戻ることについて口にしルークも同意するが、思い出したように口にした言葉に自分も忘れていたとばかりに苦笑を浮かべる・・・そう、外殻大地で共に動く組とダイクロフトに残りサポートする組と分かれているがそのどちらでもジーニアスの姿をルークは見ていなかったのだ。だが何故そうしていたのか分からないルークにとってみれば、不可解な事であった。
「その理由に関してだけど、ちょっと僕がいると面倒な事になる可能性があったから席を外してたんだ。主にミュウって言うか、チーグル関連の事でね」
「チーグル?」
「うん、ルークも聞いたんでしょ?ミュウが火事をおこしかけた時にエルフが火を消したって・・・それをやったの、僕なんだ」
「へ?そうなのか?」
だがジーニアスが口にした事実にルークは目を丸くした、まさかの火災を無くしたのがジーニアスだったという事実が明らかになった為に。
「うん、本当なら誰にも見つかることなく終わらせるはずだったんだけどちょっと失敗しちゃってね・・・見られたって分かったから僕はしばらくルーク達の前に出ないようにしてたんだけど、状況的に今なら別に出てきても問題ないって言われたから出てきたんだよ」
「今ならって、どういうことだ?」
「ん~、ちょっと前だったらミュウから僕に会ったら僕の事をティア達に言われてどういうことなのかって聞かれる可能性があったんだけどさ・・・今ならティア達はいないし、関連する会話が出てこなかったらミュウは僕が何をしたのかっていうのは言わないっていうのは何となく分かったからね。だから僕が出てきて森での事は言わないでほしいって言っておいたんだ・・・まぁそれで何であそこにいたんだって言われたらたまたまだって言えば大丈夫だとは思うけどね。話に聞くと今ティア達は精神的にそこまで余裕もなさそうだからさ」
「あ~、そうなのか・・・まぁ今の状況なら確かにティア達も深く追求しないだろうな・・・」
それでその時の経緯に加えてバレてもティア達のことは大丈夫と笑顔で言うジーニアスに、ルークも納得した上で嬉しそうな微笑を浮かべる。
「ありがとう、ジーニアス・・・クイーン達を助けてくれて」
「気にしないでよルーク、僕もそうだし他の皆もこうするべきだって話した上でそうしたんだしさ。それにアリエッタの事を聞くと、どうしてもね・・・」
「あぁ・・・やっぱ思い出すと、今でもちょっとな・・・」
そのまま礼を言うがジーニアスの返しに前の事を思い出し、ルークは苦い表情で昔を思い出す・・・前のアリエッタの最期は今思い返しても、後味が悪いとしか言えなかった為に。
「・・・まぁまぁ、ルークもジーニアスも今はそういうことは無くなったんだしいいじゃん!それより皆の所に戻ろうよ!」
「・・・そうだな、そうするか」
「・・・うん、行こうか。二人とも」
そんな空気を振り払おうと笑顔で間に入り明るく振る舞うカロルに、ルークもジーニアスも微笑を浮かべて頷き部屋を出るよう足を運ぶ・・・そんな二人の後ろに付いていきながらカロルはそっと安堵するように息を吐いた。空気を変えたことに成功したと気を抜いたように。









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