心は揺れ動く、良くも悪くも

(・・・一応これで鍵は受け取った事になるんだろうけど、いいのか?前は俺に宝珠でアッシュに鍵の本体って形でローレライは分けて渡したけど・・・)
『現状で鍵と宝珠を分けて渡す理由もないし、アッシュに予告もなしに鍵を渡せばどうなるか分からぬのでな。今回はそなたにもそうだが、アッシュにも通信をしていたわけではないから余計に反応が読めぬ』
(あ・・・そういえば確かに今回俺通信をされてなかったな・・・でもローレライが無事に地核から出てたって事を考えると、俺やアッシュに助けを借りる必要はなかったんだよな。そりゃ・・・)
そして前と違う渡し方について聞くとローレライから通信の事について返され、ルークはそもそも今は必要ないのだと思い返す。
(・・・あれ?でも元々のローレライの目的を考えると、地核から出れてセフィロトも回れるんだから音譜帯に登れるんじゃないのか?一応そこまで動けるんならさ)
だがそこで同時にルークはローレライの目的について思い返して問う。早く音譜帯に行きたいのではないのかと。
『・・・そこは我としてもそなたを助けたいからだ。一応我はそなたが前に会った我にルミナシアの我ではないが、それでもそなたが我の完全同位体であり我を助けてくれたという恩がある。それなのに我だけがのうのうと先に音譜帯に登るなど出来るはずもない』
(ローレライ・・・そんな風に思っていたのか・・・)
『あぁ、それに我が今音譜帯に行きあれの後を任せるとなれば不測の事態が起きた時に困るというどころの話ではなくなるのでな。それを避けるためにも我がいた方がいいのだ』
(あれに、不測の事態・・・?)
ローレライはそんな声に手助けをしたいからと返すが、正体のハッキリしない物にルークは疑問の声を上げる。
『うむ・・・出来るなら答えを返したい所だが、どうやらクレス達がパッセージリングの操作を終えたようだしチーグルの幼子がそなたが何かを口にしようとしていきなり黙った事に疑問の眼差しを向けている。その事についてはまた後に説明するので、今はそちらに集中してくれ』
(あ・・・確かにミュウがやけにこっちを見てきてるな・・・分かった、今はそっちに集中する。じゃあまたな、ローレライ)
『あぁ、また会おう』
しかし周りの状況について聞かされたルークは仕方無いとローレライに別れの挨拶をし、意識を外に向ける。
「・・・どうしたんですの、ご主人様?何か言おうとしてたように見えたですの・・・」
「あ?・・・まぁ気にすんな、ちょっと色々考え事をしてる最中に声が出ただけだしな」
「・・・そうなんですの?」
「あぁ」
「よかったですの~」
「話は終わったかい?なら戻ろう・・・外殻大地も降り始めたようだし、急いで次はザオ遺跡に行かないとね」
「あぁ、そうすっか」
そしてすぐにミュウが心配そうに声をかけてくるがすぐさま誤魔化しで返すルークに、納得の安心したと嬉しそうに返す。それでクレスが話している最中に外殻大地が降り始めたのを感じながら、ルークは頷き一同は場を後にしていく・・・









・・・それでセフィロトを出てダイクロフトに戻った一行の中、ルークはミュウをエステルに一時預け部屋に入る。
「ん・・・・・・あ、出てきた・・・ローレライの言ったようにやれば出来るもんだな・・・前はろくな知識も技術もなかったから、コンタミネーション現象についてもジェイドが使ってる技術で俺には出来ないもんだって思い込んでたけど・・・」
そうやってミュウを遠ざけた理由はローレライの鍵を実際に出すためで、ルークは意識を集中させると手元に鍵が現れた。その事実にしみじみと感じる。自分もやれば出来ると。











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